「紅麹問題」の小林製薬、二度のシステム障害「みずほ銀行」とあまりに多すぎる共通点(2/4 ページ)
紅麴サプリの健康被害問題で話題を呼んでいる小林製薬。同社の騒動を見ていて思い返すのが、みずほ銀行の不祥事だ。
同じく新聞記事によると「壁のヒビなどから青カビの胞子を含んだ空気が入った可能性がある」「菌の培養に使う米が青カビに汚染されていた可能性も否定できない」としており、プベルル酸混入の原料を製造していたという大阪工場の製造環境に疑念が浮かびます。
同工場は、事件発覚の直前である2023年12月に閉鎖。工場閉鎖に事件を隠ぺいする意図はないと信じたいところですが、同工場の操業開始が1940年というのはちょっとした驚きです。1940年(昭和15年)といえば、日本が第2次世界大戦に突き進んでいった最中であり、実に80年以上もの長い間、同社の日常品・食品の製造部門を担ってきたわけなのです。
当然何度かの工場内改修などは実施していたと思いますが、建物躯体などの老朽化は否めません。カビなどの発生も、十分あり得る状況にあったのではないかと考えられます。しかし、同工場は日常品・食品工場であるがゆえに医薬品のような厳格な法規制がなく、年々老朽化が進みつつも、そこには目をつぶって長年稼働させてきたのではないかと、思えるのです。
医薬品は、医薬品医療機器法に基づいて国が定める品質管理を工場で順守することが義務付けられています。一方の機能性表示食品は、製造管理に関する民間団体の認証(GMP)を受けるという推奨レベルはあるもののあくまで「任意」。認証を受けていなくとも問題とはされません。国内対象工場のうち、約3分の2に当たる220の工場が取得しているというこの認証ですが、小林製薬の大阪工場は取得していなかったことが分かっています。
これらの状況から浮き彫りになるのは、小林製薬の機能性表示食品製造に関する管理姿勢の緩さです。小林製薬は、食品会社以上により信頼性が重視される製薬会社でありながら、管理認証を得ていない老朽化した工場で、サプリを製造していました。ここからもまた、同社の経営姿勢として、あるいは企業の組織風土としての問題点を感じざるを得ません。
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