ローソン、198円「大盛りカップ麺」が大ヒット “コンビニでは売れない”の思い込み打破 開発背景は?(3/3 ページ)
ローソンが2023年4月に発売した大盛りカップ麺が売れている。コンビニでは大盛りのPBカップ麺は売れないという思い込みがあったが、なぜヒットにつながったのか。
コンビニPBならではの工夫
一般的に、NBのカップ麺はコンビニだけでなく、スーパーやドラッグストアなどさまざまなチャネルで販売される。そのため、商品単体での満足度が重要になる。おにぎりとの相性を意識した味付けは、コンビニPBならではの工夫といえるだろう。
あえてスペースをとる大型の容器にしたのもヒットの要因と考えられる。平日の昼間、空腹の状態でコンビニを訪れた利用客は、それほど時間的余裕がない。あくまで仮説だが、視覚的に大盛り商品だと分かる商品はそうした状況で手に取られやすいのではと妹尾氏は分析する。
妹尾氏の狙い通り、麺大盛りシリーズはおにぎりと一緒に購入されることが多い。数あるおにぎりの中でも、味がシンプルな「金しゃりおにぎり 塩にぎり」(113円)が特に選ばれている。目立つのは、198円の麺大盛りシリーズ、113円の塩にぎり、108円のペットボトルのお茶(PB)の組み合わせだ。合計すると419円で、ワンコインで済む。加盟店のオーナーからも「麺大盛り、おにぎり、お茶の組み合わせで買うお客さまが多い。これらを訴求するようなポップがほしい」といった要望が寄せられているという。
麺大盛りシリーズはどの時間帯に特に売れているのか。分析すると、平日のお昼ご飯として30代男性が特に購入していることが分かった(レギュラーサイズのPBカップ麺は40〜50代が購入している)。若い人のほうがたくさん食べられる、可処分所得が相対的に少ないといったことなどが背景にあると考えられる。
ローソンでは2024年度上期の商品戦略として、時間効率を意識したタイパ(=タイムパフォーマンス)、費用対効果を意識したコスパ(=コストパフォーマンス)、環境配慮などを意識したウェルパ(=ウェルビーイングパフォーマンス)のニーズを重視するとしている。2024年に麺大盛りシリーズに追加の2種を投入する際には、こうした全社の方針も意識したという。妹尾氏は「こうした商品は、他社がそこまで作りこんでいない。ローソン独自の展開だからアクセルを踏むことができた」と説明する。
シリーズ4種のうち、3種が「辛みそ」「七味」「辛コク濃厚 カレーうどん」と辛さをアピールする商品になっているのも、利用客の好みを分析してのことだ。
競合他社に目を転じると、セブン-イレブンでは消費の二極化傾向を受け、低価格の弁当を強化している。また、袋の中に複数の菓子パンや総菜パンが入った商品の売り上げが好調だ。背景には生活防衛意識の高まりがある。相次ぐ値上げラッシュで「安く、お腹いっぱい食べたい」というニーズが高まっている可能性がある。
ありそうでなかった麺の大盛りPBは消費者の支持をどこまで伸ばせるか。
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