はて? 大都会にある「サンシャイン水族館」の海水はどこからくるのか 担当者に聞いた:週末に「へえ」な話(1/5 ページ)
東京の池袋にある「サンシャイン水族館」。周囲はビルだらけで海から遠いのに、どこから海水を運んでいるのか。取材したところ、いろいろなことが分かってきて……。
東京の池袋といえば、ご存じのとおり「大都会」である。駅の乗降者数(国土交通省調べ)を見ると、池袋駅は3位で、1日に約265万人が利用している。駅の中も外も人・人・人、ちょっと歩いてもビル・ビル・ビル。そんな街に魚・魚・魚の施設がある。「サンシャイン水族館」だ。
水族館は1978年にオープン。高層ビル(10〜11階)の屋上に誕生したこともあって、当時は「初めての都市型水族館」として話題を集めた。来館者数は、累計5318万人(2023年度現在)。年に100万人以上が訪れている施設になるが、気になることがひとつある。周囲に海はないのに、水槽で使う海水はどこから運んできているのか、である。
筆者の周囲に聞いたところ「そんなこと考えたこともないなあ。知らん、知らん」と相手にされなかったり、「海水を人工的につくるプラントがあるよね。他の水族館でも使っているので、サンシャインもそうなんじゃないの?」と知的な答えが返ってきたり。気になったので、施設の担当者に尋ねたところ「300キロほど離れた伊豆諸島の八丈島の近海から運んでいます」とのこと。
ん? わざわざなぜそんな遠いところから? ものすごくコストがかかるのでは? などいくつかの疑問が浮かんできたので、サンシャイン水族館で設備担当をしている安田賢史さんに話を聞いてみた。
取材をしている中で、安田さんは何度も「バラスト水」という言葉を口にした。バラスト水とは、大きな船が航行中にバランスをとるために船内にためておく海水のこと。簡単に言えば、「おもし」である。
海運会社の貨物船は、毎日のように八丈島を行ったり来たりしている。東京湾を出航するときには、そこの海水をくみあげて、船内の専用タンク内にためる。八丈島に到着したときにはその水を放出して、再び出航するときには現地の水をくみあげる。
そして、船は東京湾に到着。となれば、その海水は東京湾に放出するわけだが、水族館側としては「それはもったいない」と考えたようである。どうせ捨てるのであれば、「ウチの水族館で使うからチョーダイな」といったことを伝え、話は前に進む。オープン当初から海水を運んでいて、いまに至るといった歴史があるのだ。
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