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建築業界「休めない、人手が足りない」 2024年問題を“さらなる苦境”にしないためには働き方の「今」を知る(2/4 ページ)

2024年4月から、働き方改革関連法の「時間外労働の上限規制」が物流・運送業界、建設業界、医療業界にも適用される。これにより労働環境改善が期待されるが、一方で、一人当たりの労働者が合法的に働ける時間が減ってしまうことでこれまで以上に多くの人員を確保しなければならなくなる。中でも「休めない、人手が足りない、若手がいない」建築業界の課題と、その解決策を探る。

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働き方改革を阻む、業界ならではの「2つの要因」

 一方で、業界ならではの「働き方改革を阻害する要因」もまた存在する。

 その一つは「週休2日制導入のハードルが高い」ことだ。先出の資料にもあった通り、現状週休2日制を実現している事業者は全体の約2割程度にとどまっている。その理由はさまざま存在するが、業界で広く採り入れられている「日給月給制」は原因の一つといえるだろう。

 日給月給制は、1日を計算単位として給料が定められているため、労働日数が多い月は給料が増え、労働日数が少ない月は給料が減る。したがって日給月給制のまま週休2日制になると、稼働日が純減し、収入も大きく減ってしまうこととなり、現場から反対の声が挙がるケースが少なくない。

 現場が動いている以上施工管理なども現場せざるを得ないため、実質的な休日出勤が常態化しているという構造だ。

 もう一つの業界ならではの要因は「多重下請け構造」である。IT・システム業界などでも見られるが、多重下請けによって中間マージンが差し引かれると、利益が残らず十分な人員を配置することが困難となる。


(国土交通省「重層下請構造の問題点」)

 結果的に一人当たりの負担が大きくなり、長時間残業・休日出勤の元凶となるうえ、指揮系統の複雑化、作業効率低下なども、労働環境の悪化につながってしまう。

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