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20代でマネジャーに“抜擢”も……あえて「プレイヤーに戻った」 サイボウズ若手の選択(1/2 ページ)

「マネジャーになって視座が上がった」「メンバー時代には分からなかったことに気付けた」──そう語るのは、とある20代の若手社員だ。しかし彼は1年7カ月でマネジャー職を辞すことを決め、現在ではいちプレイヤーとして勤めている。

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 「マネジャーになって視座が上がった」「メンバー時代には分からなかったことに気付けた」──そう語るのは、とある若手社員だ。

 しかし彼は1年7カ月でマネジャー職を辞すことを決め、現在ではいちプレイヤーとして会社の主力製品のプロモーションを担当している。良い経験ができていると感じていたマネジャーを辞めプレイヤーに戻ったのはなぜなのか。マネジャーになったことに“後悔”はあったのだろうか。

 新卒5年目でマネジャー職に抜擢され、今ではチームメンバーとして現場でオペレーションを担当しているサイボウズ マーケティング本部 kintoneプロモーショングループの吉原寿樹さんに話を聞いた。

決して「ガツガツ」していなかったが異例の抜擢

 吉原さんが新卒でサイボウズに入社したのは2017年のこと。1〜2年目は「サイボウズ Office」製品のプロモーションに関係した製品展示会、事例取材、メルマガ配信やSNS運用などさまざまな業務を一通り経験した。

 3年目に入ると、手や足を動かすことより、企画など頭を動かす仕事が増えてきた。先輩たちや上司から言われたことをする側から、自分で何をすべきか考える側に回ったのだ。

 そして4年目、吉原さんの環境は大きく変わることになる。サイボウズ Officeのプロモーションから、コーポレートブランディングと製品プロモーションの間をつなぐような部署へと異動したのだ。

 そこでの仕事は新聞やテレビの広告の企画や、オウンドメディア「サイボウズ式」の記事作成など。特定の部署のみではなく、企業全体を念頭に置いた動き方が求められるようになった。現場リーダーを任されることになったのもこの頃だ。

 5年目の終わり頃に、「マネジャーにならないか」との打診があり応じることに。コーポレートブランディングのチームにいる間に、プレイヤー、リーダー、マネジャーを経験することになったのだ。同社のマネジャー陣の、初任時の平均年齢は36.9歳(※1)。異例の人事だったことが分かる。

(※1)2024年5月1日時点でサイボウズに所属するマネジャー陣111人のうち、2020年以降に初めて就任した70人の初就任時年齢を平均化した。

 しかし実は「リーダーやマネジャーになりたいという欲はなかった」と吉原さんは話す。「仕事のレベル、視座を上げたいという思いをなんとなく抱いていて、それならレベルの高い職のほうが強制的に上げられるかもしれないと考えた」と振り返る。

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サイボウズ マーケティング本部 kintoneプロモーショングループの吉原寿樹さん

 「できるかどうかで悩むことはなかった。『得意なこと、できることはこれ』『しかしこれはできない』と考えれば、自分の可能性を狭めてしまうことになる。自己評価より周囲の考えの方が的を射ており、その提案に乗るのが良いのではないかと考えた。

 マネジャーという仕事はあくまでも役割の一つに過ぎないが、その役割、ポジションの数には限りがある。であれば、そこに推薦されたという機会を与えられたのは恵まれているのではないかと考え、前向きにやらせていただいた」(吉原さん)

 「リーダーだったからエスカレーター式にマネジャーに繰り上がったのかというと、そういうわけではないと思う」と吉原さん。

 「深く考えていたわけではなかったが、本来マネジャーがする仕事を率先して行うことで喜ばれたり、隣のチームの仕事を手伝ったりしていたことから、視座を上げようとしている、あるいはその余地があると上司に見なしてもらえていたのかもしれません」

 上を目指してガツガツしていなくても、「できるならやろう」「なにか手伝えるのではないか」という前向きなところが評価され、信頼され、入社5年目という異例のスピードでマネジャーに抜擢されたのだ。

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