レンタルビデオ→書籍→? 「SHIBUYA TSUTAYA」オープンのCCC、二度のピーク経て変化を続けるビジネスモデルに迫る(5/5 ページ)
渋谷の店舗を刷新して「新しい文化の聖地」を目指すSHIBUYA TSUTAYAがオープンした。レンタルで一世を風靡してきたTSUTAYAは今、どのような成長戦略を描いているのか。
事業のスリム化で第3次ピークへの備えを進める
近年は事業をスリム化する動きも見せている。2021年にはキタムラ・ホールディングス(HD)の株式を一部譲渡して、子会社から持分法適用会社へと変更した。また、2022年にはCCCグループで映像や出版物の企画制作を担うカルチュア・エンタテインメントに対して、凸版印刷や日販グループHDなどを引受先とする第三者割当増資を実施。CCCが70%以上有していた、同社に対する議決権比率は3割にまで低下している。こうしたスリム化により、CCCの23年3月期連結売上高は約1086億円となり、第2次ピークの3分の1となった。
2023年10月には、中核事業であるTSUTAYAのフランチャイズ事業を、CCCと日販GHDの合弁会社であるMPD社に継承。MPDの社名をカルチュア・エクスペリエンスに変更した。同社に対する出資比率は以前より日販グループHDが51%、CCCが49%という構図だ。つまり、フランチャイズ事業に対する寄与度を下げたことになる。
今後は日販グループHDの大手出版取次としてのノウハウを生かし、流通面からFC店の再生を図る。ちなみにTポイントも4月からSMBCグループのVポイントと統合し、名称もVポイントに統一している。TSUTAYA本体が縮小する中でTポイントの強みが薄れ、各社の離脱も進んでいたさなかでのできごとだった。2019年にはファミリーマートがTポイント以外も扱う「マルチポイント」サービスを開始し、電子マネーの台頭も追い打ちをかけた。
CCCが近年進めてきたスリム化には、収益性のある事業を手元に残し、資金を確保する狙いがあると見られる。その目的は事業再編ではないだろうか。レンタルビデオから新しいタイプの書店を発展させ、コワーキングスペース事業にも参入するなど時代とともに変化してきたCCC。今後どのような新規事業を展開するのか、第3次ピークに向けた変革に注目だ。
著者プロフィール
山口伸
経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 X:@shin_yamaguchi_
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