コロナが明けて進むシェアエコ Airbnbの「日本での存在意義」とは?(2/2 ページ)
コロナ禍が明け、民泊ビジネスはどうなっていくのか。シェアリングエコノミーの可能性をAirbnb Japanの田邉泰之社長に聞いた。
日本法人のトップとして心掛けていることは?
――田邊社長が経営者として何か心掛けていることはありますか。
Airbnb Japanで10年働いていて一番気にしているのは、やはり存在意義です。日本の人にAirbnbがあってよかったと思ってほしいですし、私自身、日本人として日本が元気になってほしいと願っています。課題を少しでも解決できるお手伝いがしたい思いは変わりません。
Airbnbでは「Airbnb Partners」という外部企業とのゆるやかなパートナー組織があって、そこにはANAやCCCなど、140社ぐらいの日本企業が入っています。Airbnbは外資の企業ですが、これら日本企業と一緒に「もっとこうしよう、ああしよう」という話を毎年させていただいています。
国内企業だけでなく、ホストさんとも密に連携をしています。日本には1700以上の市町村があり、われわれ社員だけでは全てを回れないので、ホストさんをはじめとする地元の方とも密に連携をとる形で自治体ともつながっています。
地域にとってわれわれはどういうことができるのか。日本企業さんと一緒に、どうやってホームシェアリングを日本らしい形で大きくできるのか。いろんな人たちと一緒に考えながら、日本にとってふさわしいホームシェアリングの在り方を模索し続けています。
――田邊社長は米国の大学を卒業していますが、この日本の役に立ちたい、日本での存在意義を模索する動機はどこから生まれているのでしょうか。
人生の多くを米国やオーストラリアで過ごしていて、海外にいたことが大きいと思います。海外生活が長かったことで、日本に対する憧れが強かったのを自覚しています。米国で大学生をしていた頃、日本はちょうどバブルの頃で、バブルを謳歌する大学生をテレビで見ては、憧れも抱いていました。
日本人という意識は強く、帰ってきた特にはちゃんと日本の役に立てるようにしようという思いがありました。この影響があると思います。
――日本法人の社長は本国の決定との間でジレンマを抱える話をよく耳にします。日本法人の社長、カントリーマネージャーとして一番の役割はどういったことなのでしょうか。
本国が正しい判断をできるようにすること。そして判断したあとに実行できるようにすること。この2つが自分の役割だと思いますね。Airbnbとして非常にやりやすいと感じるのが、ファウンダー3人の思いが一緒なことなんですよね。それはビジネスを大きくするというものだけでなく、地域に貢献し、コミュニティーを大事にすることを3人とも考えているので、私が気を遣う必要がありません。
本国のファウンダーの理念から「こうすれば世の中が良くなる」という思いでビジネスをしていますから、私はそれをそのまま引き継ぐことができます。私の役割は、その社会的理念を日本らしく、ちょっとアジャスト(調整)するだけでいい。具体的には、少子化や地方創生といった日本の抱える課題ですね。私は本国の理念を適応しているだけですので、とてもやりやすい会社だと思っています。
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