衰退するシャープは「日本そのもの」か “世界の亀山モデル”が失敗パターンにハマった理由:スピン経済の歩き方(2/7 ページ)
シャープが、テレビ向け大型液晶パネルの生産を2024年9月末で終了すると発表した。同社はまるで「世界の変化に対応できず」衰退していく「日本そのもの」のようだ。なぜかというと……。
シャープはまるで「日本そのもの」
シャープもご多分に漏れず経営が苦しくなっていく。垂直統合だけではやってられない、と生産した液晶パネルを海外メーカーにも外販するようになったが、それによって熾烈(しれつ)なコスト競争に突き進むこととなる。じわじわと衰退を続けるシャープは、2015年にはついに経営危機に陥り、翌年に台湾の「鴻海精密工業」の傘下に入ることとなる。
その後、鴻海から送り込まれた戴正呉(たい・せいご)氏のもとで再建に乗り出して、2018年3月期には4期ぶりの最終黒字。2020年度決算でも最終利益が前年比3.9倍と大幅な増益となるなど「再建」を果たしたかのように見えたが、2023年3月期連結決算で買収以来初、6年ぶりの赤字へと転落した。
そして2024年、ついに「世界に誇る日本のものづくりの象徴」であるテレビ向け液晶パネルが生産終了となったわけだ。
こういう栄枯盛衰の流れを見ていると、つくづくシャープという会社は「日本そのもの」だと感じる。「失われた30年」で国力が衰退をしていく中で、外国人から観光やアニメが高く評価されたことで多少景気のいい話は聞こえてくるが、国力衰退には歯止めがかからない。国民の豊かさをはかる1人当たりのGDPは韓国に抜かれ、2023年にはついに台湾にも抜かれた。
これはシャープも同じだ。「世界の亀山モデル」と自画自賛してから衰退が進むと、外国資本に買収されたことでいっときは持ち直すが、やはり衰退に歯止めがかからない。かつて「世界最先端」と胸を張ったテレビ向け液晶パネルは今や中国と韓国の「お家芸」にとって代わられた。
では、なぜ日本もシャープも衰退が止まらないのかというと、実はどちらも同じ「失敗パターン」に陥っている。一言で言えば、「過去の栄光にしがみつくあまり、世界の急激な変化に対応できない」ということだ。
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