なぜ「サマンサタバサ」はここまで追い詰められたのか 「4°C」との共通点:スピン経済の歩き方(1/6 ページ)
「サマンサタバサ」が崖っぷちに追い込まれている。ボーナスの支給がないほど業績が低迷しているわけだが、なぜここまで追い込まれているのか。「4°C」との共通点があって……。
「Samantha Thavasa(サマンサタバサ)」が崖っぷちらしい。
最終赤字が8期連続で、12月のボーナスも支給されないということで、「いよいよか」と話題になっている。
かつて一時代を築いた日本発バッグブランドがここまでひどいことになってしまった原因について、経営コンサルタントの皆さんがあれやこれやと分析されている。そこで多く指摘されているのは、やはり稼ぎ頭のバッグがコロナ禍の外出自粛で大打撃を受けたということや、アパレル事業への進出や、低価格帯ラインなど増やしすぎたという「多角化」の失敗である。
そこに加えて「トレンド」を指摘する専門家も多い。サマンサタバサといえば人気絶頂期にCMに起用されていた、エビちゃんこと蛯原友里さんやミランダー・カーのように肩出しワンピースにピンヒールという女性らしいファッションに似合うバッグというイメージが強い。しかし、今街を歩いても当時のエビちゃんのようなファッションの女性には、滅多にお目にかからない。
それを象徴するのが、「セシルマクビー」だ。SHIBUYA109のギャルブランドの代表だった同ブランドも運営会社が撤退を発表をして、2020年11月に全店閉店してしまった。こちらも直接の原因はコロナ禍ということだが、それ以前から「トレンドとの乖離(かいり)」で低迷が続いていた。
ちなみにその後、セシルマクビーは別会社がマスターライセンス契約を結んで復活を果たしているが、往時に愛用していたファンからすれば、まったく別ブランドという印象になっている。
このように「時代の寵児」としてもてはやされたブランドが衰退するには、さまざまな要因がある。ただ、一世風靡(ふうび)した後も多くのファンに愛され続けているブランドがあるのも事実だ。サマンサタバサはそれができず、なぜここまで追いつめられてしまったのかというと、もっと根本的な原因があると思っている。
それは、「ブランドの大衆化」である。
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