なぜ「サマンサタバサ」はここまで追い詰められたのか 「4°C」との共通点:スピン経済の歩き方(2/6 ページ)
「サマンサタバサ」が崖っぷちに追い込まれている。ボーナスの支給がないほど業績が低迷しているわけだが、なぜここまで追い込まれているのか。「4°C」との共通点があって……。
「ダサい」「安っぽい」と心ないディスり
分かりやすく言えば、「女子が欲しいと思うバッグ」だったものが、バカ売れして「女子がみんな持っているバッグ」となったことで、口の悪い人たちから「ダサい」「安っぽい」と心ないディスりが増えてしまったのだ。
大衆が気軽に買えてしまうもの、大衆が気軽に所持できるものというのは、もはや「ブランド」ではない。単なる「メーカー」だ。そんな大衆化によるブランド価値の急落が、サマンサタバサ衰退の最大の原因ではないか。
と聞くと、やはり最近なにかと話題になっているジュエリーブランド「4°C」を思い出す人も多いのではないか。
4°Cもかつて一世を風靡してライバルブランドの業績が低迷する中で「ひとり勝ち」だった。しかし、16年2月期の528億円に売り上げピークとなって以降、5期連続で売上高も営業利益も減少した。
この要因とされているのが、サマンサタバサ同様の「ダサい」「安っぽい」という心ないディスりだ。
ググっていただければ分かるように近年この時期になると、「クリスマスにいい大人が4°Cをプレゼントをするのはいかがなものか」というような“4°C論争”が行われるのが風物詩になっている。
このあたりについて同ブランドを展開するエフ・ディ・シィ・プロダクツグループの瀧口昭弘社長は、このように要因を分析する。
『4°Cはジュエリー業界の大手ブランド。価格が手ごろで、ブランド名が世の中に浸透していることから、男性が「このブランドを贈っておけば間違いないだろう」と相手の好みを十分に把握せずに贈るギフトとして、フォーカスされてしまったのではないかということだ』(日経クロストレンド 12月18日)
やはりこれも「ブランドの大衆化」と言っていい。「女子がもらって喜ぶジュエリー」としての地位が確立したことによって、皮肉にも「男たちが安パイなプレゼントとして買い求めるジュエリー」という大衆化を招き、ブランド価値が暴落してしまったのだ。
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