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誰かに相談することは本当に意味があるのか――事業戦略のプロが20年相談をし続ける理由ビジネスを成功に導く「相談の力」(3/4 ページ)

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相手に正しく伝わるようにするにはどうすべきかを考える

 相談には成功も失敗もない――こう言うと、必ずこんな言葉が寄せられます。「その話はよく分かりました。でも、事業やプロジェクトは中長期的なものばかりではありません。短期的に成果を出さないといけないのに、相談によって事業を前に進めることができませんでした。それを失敗とは言わないのですか?」と。

 物事を前に進められなかった要因として、準備不足で相談相手にうまく説明できなかったことが挙げられたとします。それが原因で相手から的確な意見や情報を引き出せなかったとしましょう。果たしてそれを失敗と捉えるべきなのでしょうか。私はそう考えません。むしろ「相手に正しく伝わるようにするにはどういう情報を話せばいいのだろうか」と考え整理し、「逆にあの質問をされたら次は答えられるようにしよう」と準備します。

 これは、相談で気付きを得たと捉えられるはずです。相談相手に理解してもらえなかった原因が、渡した資料が文字ばかりだったからかもしれません。資料を渡さず口頭で長々と説明しただけだったからかもしれません。

 その経験から得た学びによって、相談の準備もアップデートできるのです。失敗ではなく、ネクストアクションが見い出せたと考えられないでしょうか。相談がうまくいかなかったと思えば、その場で相談相手に「今回は準備不足だったので、もう一度相談する時間をいただいてもよろしいでしょうか」と伝えればいいのです。そこで了承を得られれば、次の機会につながります。

 さらに言えば、どの部分をクリアにすべきか、どの部分に厚みをもたせればいいのか、相談相手に直接聞くこともできるでしょう。相談する機会が一度しかないと思い込んでいると、成功か失敗かという二者択一の発想しか浮かびません。反対に、相談は一度ではなく、相談相手は限りなくいるという発想に立てば、相談で得た気付きを別の相手に生かせばいいと考えられるはずです。

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