企業の「制服」市場がジリ貧なのに、なぜ? 福井発「ユニフォームネクスト」が成長を続けているワケ(1/3 ページ)
縮小を続けていた企業制服市場だが、時代の変化に合わせて新たな役割が生まれつつある。同業界で好調を続けるユニフォームネクストの取り組みなどにも触れながら、その現状を解説していく。
企業の制服(ユニフォーム)の活用および、その考え方が大きく変わってきています。かつて高度成長期には主に作業服として、その後は社員の帰属意識や連帯感を高め、社員の能力表示の象徴的なツールとしても、多くの企業が活用してきました。
しかしながら、社会常識の変化とリーマンショックやコロナ禍によるコスト意識が相まって、企業の制服市場はジリ貧状態が続いています。このような状況にあって、制服業界の中で成長を続けているのがユニフォームネクストです。厳しい状況下にもかかわらず、同社はどのような戦略で発展してきたのか、業界の歴史と合わせて見ていきましょう。
企業制服、始まりは富岡製糸場などの工場?
まず、日本企業における企業制服の歴史を振り返りましょう。
1868年の戊辰戦争で官軍に制服が用いられたことを受け、ほぼ同時期に設立された富岡製糸場などの官営模範工場で初めて、産業用の制服が本格的に用いられたとされています。当然、当時の制服はまさに「作業服」でした。多くの人が働く工場での作業スタイル統一に資するものとして民間も追随し、その後は長らく日本の産業的発展を支えてきました。
戦後、当初は大企業を中心に福利厚生の一環として制服支給が広まっていきます。高度成長期に右肩上がりの経済成長を背景として、製造業を中心に福利厚生を完備する優良企業の証的に広がりを見せました。
制服に対する企業の考え方が大きく変化したきっかけは、1970年の大阪万博です。当時の好景気に乗って大手企業群がこぞってパビリオンを出展。そこで案内役を務めたコンパニオンの制服に注目が集まったのです。これを機として、旧財閥系企業や新興企業グループは、著名デザイナーに制服のデザインを依頼するようになりました。その結果、制服は主に大企業のブランドを高める広告宣伝ツールとしても認識されるようになります。
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