データ活用、接客 韓国のIR「インスパイア」に見る“LTV向上の要点”とは(3/3 ページ)
投資額2200億円、敷地面積430万平方メートルと広大な韓国の統合型リゾート「インスパイア」。客に何度も訪れたいと思わせる施設をいかにして作り出し、顧客生涯価値(LTV)を高めているのか。インスパイア・エンターテインメント・リゾートのCMOに聞いた。
「サービスが落ち着くのが1年」
2023年11月にソフトオープンして半年以上が過ぎ「見えてきた課題が多くある」と話す。
「この規模のリゾートになると、各種サービスが落ち着くまでに一般的に1年ほどの時間が必要だといわれています。とはいえ、当社が満足するクオリティーに速く到達するためには優先順位をつけながら解決していき、顧客の迷惑にならないよう努力しています」
ジェンセンCMOには「サービスが落ち着くまでに単に1年待つ」という選択肢はないようだ。1泊した筆者にも「サービスはどうだったか?」と聞いてくるなど、積極的に顧客を理解しようとする姿勢を感じた。ジェンセンCMOは、細かいところにも目が届く。顧客からのフィードバックを特に重宝し、積極的に理解しようとしていた。特に高品質なサービスに慣れている「日本人の意見や目線」を大切にしているという。顧客をいかに満足させられるか。これがLTV向上への最短距離であることを理解しているのだろう。
デジタル化というと、見た目で分かりやすい表の部分を推進したくなるものだ。だが、インスパイアの面白い点は、フロントハウスとバックハウスという「表と裏のデジタル化」を同時に進めている点にある。加えて風通しのよい企業風土づくりにも熱心だ。
デジタル化、データ活用、従業員のアイデアが実現できる組織。どれか1つでも欠けてしまうと、そのメリットが顧客に伝わらず、LTV向上につなげられない。インスパイアの取り組みは日本企業にとっても、今後の指針になりそうだ。
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