千葉のキッザニアっぽい施設「カンドゥー」 存続の危機から一転、過去最高の来場者数に どう立て直した?:「オワコン」克服へ(5/5 ページ)
幕張豊砂駅を出てすぐに、キッザニアによく似たパーク「カンドゥー」はある。慢性的な赤字体質を抜け出せたのはなぜか?
ポケモンから“ラブコール”
こうした改善をしていった結果、2024年1月にコロナ禍以降初めて単月黒字を達成。それ以降、4月まで一度も単月赤字になっていない。2月については開業以来過去最高の入場者数を記録した。
スポンサーも新たにつき始めている。その中でもビッグネームは株式会社ポケモンだ。2022年末に“ラブコール”をもらい、カンドゥー内にポケモンセンターが誕生した。
ポケモンは長寿コンテンツであるだけにファンも一緒に年を取っていく。従って同社は子どものころからポケモンと触れる機会を増やそうとしており、そのためのカンドゥー出店というわけだ。
ポケモンと同じように、親子世代へのブランディングの場としてカンドゥーに興味を持つ企業が増えている。直近ではサイゲームス(東京都渋谷区)、BOAT RACE振興会(東京都港区)が新たにブースを構えた。スタートアップ企業、業界団体・協会とのスポンサー交渉も複数進んでいるという。
データドリブンの改善を実行して業績が上向きだしたカンドゥー。冒頭にも書いたが、既に2号店の出店を決定している。場所は東北最大級のショッピングモール「イオンモール新利府 南館」(宮城県利府町)だ。
末松社長も「今は『V字回復』というほど劇的な回復ではなく、もっとゆるやかなカーブの『U字回復』が始まったところです」と前置きした上で、さらなる事業拡大を狙う。
「2号店で終わりにしたくないと思っていまして。将来的には3号店、4号店と出店し、国内の各主要エリアには必ずカンドゥーがある形にしたいなと思っています」
キッザニアと似ているようで違う。そして、より親子世代が一緒に楽しめるコンセプトを打ち出したカンドゥー。デジタル化とデータドリブンの仮説と検証で、ようやく長い低迷期を抜け出そうとしている。「U字回復」を完遂し、全国にその名を轟(とどろ)かせられるだろうか。
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