“孫正義流”ChatGPTの使い方とは? 「部下と議論するより面白い」:株主総会で明かす
「部下と議論するより面白い」と株主総会で会場を沸かせた孫正義氏のChatGPTの使い方とは。
【注目】ITmedia デジタル戦略EXPO 2024夏 開催決定!
生成AIでデジタル戦略はこう変わる AI研究者が語る「一歩先の未来」
【開催期間】2024年7月9日(火)〜7月28日(日)
【視聴】無料
【視聴方法】こちらより事前登録
【概要】元・東京大学松尾研究室、今井翔太氏が登壇。
生成AIは人類史上最大級の技術革命である。ただし現状、生成AI技術のあまりの発展の速さは、むしろ企業での活用を妨げている感すらある。AI研究者の視点から語る、生成AI×デジタル戦略の未来とは――。
ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長は6月21日の株主総会で、SBGの使命を「ASI(Artificial Super intelligence、人工超知能)を活用しながら人類の進化に貢献すること」だと話した。ASIを「人類の知能の1万倍」と定義。ASIの時代が10年前後で訪れると予測した。
孫氏は2023年10月に都内で開いた自社イベントでも「SBGを世界で最もAIを活用するグループにしたい」と力説。汎用型人工知能であるAGI(Artificial General Intelligence)について語り「AGIは10年以内に実現する」と述べていた。AGIが達成された状態については「人類の英知を総和した10倍くらい優れている状態に達したとき」と定義し、何を聞いても人間よりAGIの方が優れた回答を出す状態だとしている。
今回の株主総会では「AGIは3〜5年くらいで来るんじゃないか」と話した。その上で「ASIは10年以内に来る」とし、自社イベント登壇時よりも早期にAGIやASIの時代が来るとの見方を示している。
「ASIを避けることはできない。だったら避けるよりも今から積極的に使っていくべき。 僕だってChatGPTを毎日ガンガン使っていますからね。ヘビーユーザーです」(孫氏)
「ASIに向けて準備しておくべきことは?」との株主からの質問には、自身のChatGPTの使い方を披露しながら答える場面もあった。「部下と議論するより面白い」と会場を沸かせた孫氏のChatGPTの使い方とは。
天才科学者A・B・Cと定義 「目の前でディベートしてくれ」と指示出し
「僕のChatGPTの使い方は、語り合いのパートナーなんですね。何かを検索するというよりはアイデアの壁打ち、 ディベート相手なんです」
孫氏は日々のChatGPTの使い方を明かした。具体例としてChatGPTに対し、それぞれの特徴を持った天才的科学者A・B・Cなどと条件を設定。その上で「あなたが天才的科学者だとしたら、この問題をどう解決するか。僕の目の前のディベートしてくれ」などと指示を出すという。
「それで、ずっとディベートをさせるんです」
例えば天才科学者BとCが「天才科学者Aの意見に賛成だとか反対だとディベートをする」。そうなると孫氏は「違う角度から、自分なりの発想で切り替えてコメントしてほしい」などと再び指示を出してディベートを続けさせるという。
「ぐるぐるぐるぐるディベートさせて、 コンセンサス(意見が一致)ができた時には、その状態はコンセント(同意)という状態。そのコンセントが取れるまでは、僕の目の前で意見を戦わさせます。めちゃくちゃ面白いです。ものすごい有益です。部下と議論するよりも、見ていたら面白いという感じ(笑)。やり出したら止まらないですね」
来たるべき世界では、いちいち自分でこのようなインプットをしなくても、人間とASIが対話をする時代が訪れるのではないかという。
「(例えば)眼鏡みたいなものをかけていたら、自分と同じように、過去にしゃべった会話、過去に会った人、過去の会議など全てを理解してくれる。その上で、もっとコメントを言ってくれる。アドバイスしてくれる。そういう状態になるでしょうね。もう敵わないですよ。 ただでさえ(人間の)1万倍くらい賢いのに、日々刻々とデータをアップデートして、頭脳のレベルアップをする。もう生活の中で完全に融合している世界が来る」
孫氏は、将来的に「一人一人が自分のエージェントを持つようになる」とも指摘した。そのエージェントと、健康や投資、日常生活についても話すようになるという。
「自分にとってのパートナーであり、メンターであり、師匠であるような、そういうパートナーを、仮想空間の中に1人で何人も持つ形になるんじゃないかと思います」
OpenAIに「1兆円出資」を検討した過去も
孫氏はChatGPTを運営する米OpenAIに、かつて1兆円の出資を検討していたことも明かした。
「僕は決意していたんです。(OpenAIのCEO)サム(・アルトマン)もほぼその気になっていた。でもサムはやっぱり仲間とも話をしなきゃいけないし、彼も迷っていた。僕は心を決めていたんですけどね。でも結果的にサムは、Microsoftの方の1兆円を受け取ることに決めた。正しい判断だったと思いますよ。やっぱりMicrosoftは世界一の会社ですからね。販売網も技術力も資金力も持っていますから」
その上で孫氏は「逃した魚は大きいが、語っても仕方がない。それよりも今から」と話し、現在は複数のパートナーと共にASI実現に集中していると語った。
この記事を読んだ方へ 生成AI×ビジネスを見据える
元・東京大学松尾研究室のAI研究者、今井翔太氏が「ITmedia デジタル戦略EXPO 2024 夏」に登壇。
生成AIは人類史上最大級の技術革命である。ただし現状、生成AI技術のあまりの発展の速さは、むしろ企業での活用を妨げている感すらある。AI研究者の視点から語る、生成AI×デジタル戦略の未来とは――。
- イベント「ITmedia デジタル戦略EXPO 2024 夏」
- 2024年7月9日(火)〜7月28日(日)
- 無料でご視聴いただけます
- こちらから無料登録してご視聴ください
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
孫正義「SBGを世界で最もAIを活用するグループに」 AGIは10年以内に実現
ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長は10月4日、都内で開いた自社イベントに登壇し「SBGを世界で最もAIを活用するグループにしたい」と力説した。
孫正義の商才が開花したバークレー 1カ月で売上3倍にした「初の企業買収」の舞台裏
作家・井上篤夫氏の著書『志高く 孫正義正伝 決定版』(実業之日本社文庫、2024年)から抜粋記事の2回目。孫正義の商才が開花したバークレー時代に迫る。
孫正義が原点「無番地」で得た挑戦意欲 「人にはみな、夢を見る権利がある」
作家・井上篤夫氏の著書『志高く 孫正義正伝 決定版』(実業之日本社文庫、2024年)から抜粋記事の初回。孫正義の原点に迫る。
ボーダフォン、ホークス、スプリント 孫正義の買収決断を支えた“ある人物”
作家・井上篤夫氏の著書『志高く 孫正義正伝 決定版』(実業之日本社文庫、2024年)から抜粋記事の4回目。ボーダフォン、ホークス、スプリントと、孫正義の買収決断を支えた“ある人物”とは?
孫正義とビル・ゲイツが韓国・金大中大統領に迫ったこと 「これをやれば復活できます」
作家・井上篤夫氏の著書『志高く 孫正義正伝 決定版』(実業之日本社文庫、2024年)から抜粋記事の3回目。ビル・ゲイツと孫正義が韓国・金大中大統領に迫ったこととは?
ChatGPT創業者が慶大生に明かした「ブレイクスルーの起こし方」
ChatGPT開発企業の米OpenAIのCEOが来日し、慶應義塾大学の学生達と対話した。いま世界に革命をもたらしているアルトマンCEOであっても、かつては昼まで寝て、あとはビデオゲームにいそしむ生活をしていた時期もあったという。そこから得た気付きが、ビジネスをする上での原動力にもなっていることとは?
松尾豊東大教授が明かす 日本企業が「ChatGPTでDX」すべき理由
松尾豊東大教授が「生成AIの現状と活用可能性」「国内外の動きと日本のAI戦略」について講演した。




