連載
ぬれる“スキ”を与えない傘はなぜ生まれた? 見過ごされがちな感情にヒント:テストマーケティングから見るプロダクトの近未来(1/2 ページ)
テストマーケティングの事例から学ぶヒット商品開発のカギ。見過ごされがちな感情に隠されたヒントがある。
「テストマーケティングから見るプロダクトの近未来
企業の新商品・サービスの挑戦を支援するプラットフォーム、Makuake。ここでは日夜、新たなコンセプトを持った商品が企画され、ユーザーの厳しい目にさらされている。多くの支持を集めた商品にはどのような特徴があるのか。本連載では既に終了したプロジェクトを振り返り、成功の要因からプロダクト開発の近未来を探る。
新商品の企画は、マーケティングや商品開発の担当者にとって常に悩みの種ではないでしょうか。解決のヒントは日常生活にこそ隠されています。今回は「うっとうしい」「面倒くさい」という人間の根本的な感情に着目し、そこに眠る商品開発のヒントについてお伝えします。
ぬれる“スキ”を与えない傘
梅雨の時期、毎日のように降る雨に対して、うっとうしさや面倒くささを感じる人は多いはず。すっかり便利になった現代でそのような感情を抱くのは、そこにまだ解決していない課題が存在することを意味しています。その課題を的確に捉えることが、ヒット商品を作り出すカギです。
例えば車に乗り降りする際、雨で体や車の中がぬれてしまうことがあります。誰しも経験したことがあると思われるこの悩みを、キャッチコピーで的確に表現することで大ヒットした商品があります。
その名も「NURASAN」という傘です。ワンタッチで開閉するので、車のドアを閉めるギリギリまで開いておくことができる傘なのですが、「3秒乗車 濡れる“スキ”を与えない」という表現が見事にニーズを捉えています。結果、2400万円以上の金額を集めました。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
“インバウン丼”と呼ばないで――1杯1万円超の海鮮丼が話題の豊洲「千客万来」、運営企業が漏らした本音
メディアによる切り取った報道に、現地は困惑しているようだ。やよい軒が“ロボ化”してまで死守した「ご飯おかわり自由」
コロナ禍でライフスタイルが変容する中、大手外食チェーンが「朝食」の時間帯を狙った戦略を展開する。やよい軒では、2006年の創業時から朝食メニューを提供している。メニューの開発経緯や戦略について運営企業に取材した。「580円の朝焼肉」誰が食べている? 焼肉ライクが開店を“4時間”早めてまで始めたワケ
焼肉ライクは「朝焼肉セット」という朝食メニューを2020年8月から展開している。コロナ禍で時短営業を余儀なくされ、「朝の時間帯」に活路を見出したのがきっかけ。今はどのように利用されているのか取材した。「朝モス」利用者、実は40〜60代がボリューム層 そのコンセプトは
大手外食チェーンを中心に「朝食」の時間帯を狙った戦略を展開している。モスバーガーは2014年から「朝モス」を本格的に導入しており、現在では朝食の時間帯の売り上げが全体の約1割を支えているという。朝モスはどのような経緯で始まり、どんなメニューが人気なのか。運営企業のモスフードサービスに取材した。肉2倍の「夜マック」に見る、マクドナルドのディナー戦略
コロナ禍をきっかけに、ライフスタイルや食生活は変容している中、大手外食チェーンは特定の時間帯に絞ったメニューを開発し、展開している。今回は日本マクドナルドに、「夜マック」の導入経緯や人気商品、想定するターゲットについて聞いた。