なぜ「うなぎビジネス」が盛況なのか “うなぎのぼり”が続きそうな3つの理由と大きな不安:スピン経済の歩き方(6/7 ページ)
「うなぎビジネス」の評価が“うなぎ上り”だ。これまでの高級食パン専門店ブームなどとは異なる道をたどりそうな予感がするが、なぜそう思うかというと……。
「闇マーケット」も登場
需要は増えているのに供給が減るという問題が起きれば、そこには「闇マーケット」が登場する。
うなぎの稚魚は「密漁」が多い分野で、かつては市場に出回るうなぎの半分は「違法」とされた時代もあった。取り締まりでだいぶ減少したが、それでも全国的に密漁が後を絶たないということで2023年12月に改正が行われた。これまで密漁の罰金は最大10万円だったのが、なんと300倍の3000万円になったのだ。
しかし今年は不漁だからか、それでも密漁する人たちがいる。
例えば2月には、千葉県香取警察署が70代の漁師男性とその息子の40代男性を、うなぎの稚魚を密漁したとして漁業法違反(特定水産動植物の採捕の禁止)などの疑いで逮捕した。「シラスウナギ国内で過去3番目の不漁 後を絶たない密漁 漁協が監視活動…怪しい車を発見」(OBS大分放送 4月1日)というニュースからも分かるように、全国で密漁者に目を光らせている。
これからうなぎの不漁が続き、さらに密漁も深刻になっていけば、日本だけではなく国際社会でも「うなぎ保護」の機運が盛り上がる可能性がある。
「バカバカしい」と思うかもしれないが、国際社会、特に西側諸国からの「外圧」によって、その国独自の食文化が批判されてやがて衰退していくというのはわりとよくある。分かりやすいのは、韓国の「犬食」だ。日本人や欧米人からすれば動物愛護的にあり得ない蛮行だが、韓国では滋養強壮の伝統食という位置付けとなっている。最もポピュラーな食べ方はポシンタン(補身湯)と呼ばれる鍋料理だ。
筆者は今から15年ほど前、雑誌の取材で現地で食用犬を飼育する「犬牧場」や犬肉を販売する市場、ポシンタン専門店など「犬食ビジネス」に関わる人や、愛好家に取材をしたことがある。そこで感じたのは、日本の「うなぎ」とよく似ているということだ。
若者が好んで食べるものではなく、高齢者が滋養強壮や夏バテ防止で食べることが多いのだ。犬愛好家からすればショックで卒倒しそうな話だが、犬と漢方薬などを大きな圧力鍋で煮込んで薬用飲料にする。それを孫たちが祖父母にプレゼントするのは、珍しくはなかった。現地で取材をすると、日本でも人気の韓流ドラマに出演していた俳優もポシンタンが好物だなんて話も聞いた。
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