「2024年問題は完全に解決した」――三重県の中小運送会社が進めた、驚きの改革:若手がどんどん集まる(3/3 ページ)
「2024年問題は、当社では完全に解決しました」と話すのは、三重県亀山市の運送会社、カワキタエクスプレスの川北辰実社長だ。同社はおよそ15年前から若年層を採用するため、働き方改革を進めてきた。時代を先取りして進めた改革の全容は――。
2024年問題はきっかけに過ぎない
2024年問題が、運送会社に与える打撃は大きい。残業時間の上限規制により、今まで長距離を一人のドライバーが運転して届けていた荷物が、一人では届けられなくなるなどの問題が山積する。川北社長は「解決した」と言い切るが、業界内では苦戦する企業の方が多い。
業界の現状について、川北社長はこのように話す。
「『行けるところまで行く』という会社もあります。要するに、法律を守ってこれまでの仕事をするのは難しい。ドライバーも、荷主も求めていない。それならば、監査が入って強制的にできなくなるまで、2024年問題に対応せず違法な状況を続けるということです。もちろん改善しようと頑張る会社もあります。全体の肌感覚では『どうしたらいいかな』『何から取り組もう』と迷っている人が一番多いのではないでしょうか」
カワキタエクスプレスの2024年問題への対応については「当社がうまくいっているのは、たまたま15〜16年前から新卒採用をきっかけに取り組んでいたからという『時差』の問題です」と話す川北社長。今後、運送会社が生き残るためには働き方を変えること、そして良い風土を作ることが欠かせないと続ける。
「法律どうのではなく、いかに若い人の働き方に合わせていけるかが重要なのではないでしょうか。これから運送会社を続けていくためには、人を集めるために働き方を変えていかなければいけない、2024年問題はそのきっかけに過ぎないと思います」
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