小売マーケの限界突破か サツドラ、AIカメラ×広告で売上が1.6倍に:新しい店舗体験(1/3 ページ)
北海道内で2位の店舗数を誇るサッポロドラッグストアは、新しい店舗体験の構築に乗り出した。AIカメラでの取得データとPOSデータを掛け合わせた広告を展開している、新しいチャレンジを取材した。
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北海道で約200店舗を展開するサッポロドラッグストアー(以下、サツドラ)は、道内で第2位の店舗数を誇るドラッグストアチェーンだ。この地方ドラッグストアの雄が業界に先駆けて、AIカメラとサイネージを使った店頭プロモーションに取り組み始めた。
2020年6月の導入以来、AIカメラで取得したデータと購買データ(POS)を掛け合わせることによって、成果が表れてきている。広告を出稿した商品の中には、販売数量が1.6倍に伸びたものもあったという。
本記事ではサツドラの山本剛司氏(ドラッグストア事業本部 本部長付 DX・デジタルマーケティング推進担当)に、店舗にAIカメラを導入した経緯や小売業におけるリテールメディアの可能性を取材した。
「購買履歴だけでは分からない」 小売りマーケの限界
ドラッグストアのマーケティングといえば、会員カードから顧客の年齢や性別など属性情報を収集し、購買情報とひも付けるID-POSが一般的である。しかし、この方法だけでは限界があると山本氏は言う。
「例えば会員カードを本人ではなく、その家族が使った場合はどうなるでしょうか。当然ながら、正しい購買データは取得できません。また、購入しようと考えたものの、結局購入に至らなかった場合の情報ももちろん取得できません。小売りがもっと精緻なマーケティングをしたいと思っても、どうしてもデータに限界があったのです」(山本氏)
全てがオンラインで完結するECの場合、顧客が商品を認知し、購入するまでの一連の行動はデータで収集できるだろう。しかし、顧客の行動を常にトラッキングできるわけではないリアル店舗においては「なぜこの商品は売れたのか? なぜ売れなかったのか?」まで深掘りすることが難しかったのだ。
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