マーケ戦略の良し悪しは「何で」決まるのか? 「筋の良い戦略」が描けない理由:トライバルメディアハウスのマーケ戦略塾(1/3 ページ)
「思うように売り上げが上がらない」――その悩みの背景にはマーケティング戦略が論理的に組み立てられていないことがあるのではないでしょうか? マーケ戦略策定に潜む10の落とし穴とその解決策を解説していきます。
連載:トライバルメディアハウスのマーケ戦略塾
「思うように売り上げが上がらない」「マーケティングが効いているのか効いていないのかわからない」理由の多くは、戦略が論理的に組み立てられていないことに起因しています。本連載では、マーケ戦略策定に潜む10の落とし穴とその解決法を解説していきます。どうすれば「筋の良い」マーケティング戦略を組み立てることができるのか?――トライバルメディアハウスのマーケ戦略塾、開講です。
戦略とは何か
マーケティングの現場では「新商品のプロモーション戦略を考えよう」「PR戦略を強化して露出を増やそう」「CRM戦略でLTVを向上させよう」など、あらゆる場所や場面で「戦略」という言葉が登場します。
戦略と名の付くものには「経営戦略」「成長戦略」「競争戦略」「アライアンス戦略」「人事戦略」「財務戦略」「マーケティング戦略」「CRM戦略」「広告戦略」「PR戦略」「SDGs戦略」「DX戦略」「戦略思考」「キャリア戦略」「人生戦略」など実にさまざまなものがあります。中には「戦略」というより「戦術」だったり、単なる「目標」だったり、はたまた「考え方」や「実行計画」に近い概念として使われるケースも少なくありません。
言葉に「戦略」が付いているにもかかわらず全体像がボヤけていたり、「何をするのか?(=実行すること)」や「なぜそうするのか?(=理由)」がフワッとしたりしてしまう理由は「戦略」の定義そのものが曖昧だからです。
そもそも、「戦略」とは何なのでしょうか。最新の『広辞苑 第七版』(岩波書店)では、下記のように定義されています。
せん・りゃく【戦略】(strategy)
戦術より広範な作戦計画。各種の戦闘を総合し、戦争を全局的に運用する方法。転じて、政治・社会運動などで、主要な敵とそれに対応すべき味方との配置を定めることをいう。出典:『広辞苑 第七版』
この定義から、戦略とは競争相手と戦い、勝利するための「全体的」な「資源配分」を決めることであると分かります。
仮にあなたの会社が持つ経営資源が無限なら、戦略は必要ありません。あらゆる場所で「全張り」すれば良いからです。でも、そんなことあるはずがありません。実際には、特定商品やサービスに投下できる資源(資金や労力など)には限りがあります。限られた経営資源の中で「何かを実行する」ことは「何かを実行しない(できない)」ことと同義です。
つまり戦略とは、常に資源配分におけるトレードオフの選択であり、逆に言えばトレードオフではない戦略は「戦略になっていない」ということでもあります。
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