10年で市場規模が10倍に 「アナログレコード」復活の理由をUX観点から考える:グッドパッチとUXの話をしようか(1/4 ページ)
サブスクサービスで音楽を聴くことが増えてきましたが、意外なことにここ10年で「アナログレコード」の市場は10倍に成長しています。なぜアナログレコードが人気なのでしょうか、その秘密をUXの観点から考えてみました。
連載:グッドパッチとUXの話をしようか
「あの商品はどうして人気?」「あのブームはなぜ起きた?」その裏側にはユーザーの心を掴む仕掛けがある──。この連載では、アプリやサービスのユーザー体験(UX)を考える専門家、グッドパッチのUXデザイナーが今話題のサービスやプロダクトをUXの視点で解説。マーケティングにも生きる、UXの心得をお届けします。
突然ですが、今「アナログレコード」が流行っている――といわれて、読者の皆さんはピンと来るでしょうか。
最近は「Spotify」などのストリーミングサービスが一般的になり、音楽を聴くのはもっぱらスマートフォンという方も多いと思いますが、一方で、アナログレコード人気の波は確実に来ています。
日本レコード協会の統計によると、日本におけるレコードの生産実績は2013年の26万8000枚から22年には213万3000枚と約8倍に、金額ベースでは4億800万円から43億3600万円に拡大しました。要するにこの10年で市場規模が10倍になったのです。
大手CDショップのタワーレコードやHMVは、この数年でレコードの取り扱いを急速に増やし、レコード専門店を始めるほどに。欧米でもレコードの売り上げは伸びており、今やアナログレコードは昭和の懐かしい代物ではなく、令和のヒット商品になりつつあるのです。
一体なぜ、これほどまでにレコードが人気を博しているのか。無料プランも存在するストリーミングサービスだけでは飽き足らず、わざわざお金を払ってまで人々がレコードを買い求めるのには理由があります。
今回の記事では、UXデザイナーとして、そしてレコード愛好家として、音楽好きを虜にするレコードの魅力を「ユーザー体験(UX)」の観点から考察していきます。
関連記事
- なぜ人は「ゼルダの伝説」にハマるのか? マリオのユーザー体験と比較して分かったこと
5月12日に発売された「ゼルダの伝説」の最新作が、発売たった3日で世界販売本数1000万本を突破した。30年以上も愛されるゲームの魅力とはなにか? なぜ人は「ゼルダの伝説」にハマるのか? ユーザー体験(UX)の観点からひも解いていく。 - 2カ月で1億人が使った「ChatGPT」 なぜここまで流行ったのか、UX観点から解説
今、AIに関する最もホットな話題である「ChatGPT」は2カ月で1億人が利用したモンスターサービスだ。なぜここまで流行ったのか、UXの観点で考えるとおもしろいことが分かってきた。 - コンビニの25倍も売れる コカ・コーラも期待するドリンクが「銭湯」を主戦場に選んだ真意
コンビニよりも銭湯で売れるドリンクがあるのをご存じだろうか? 日本コカ・コーラが出資したリラクゼーションドリンク「CHILL OUT」だ。なぜあえて「銭湯」を主戦場に選んだのか、その真意を取材した。 - 暴言に耐えかね「退職」も freeeの「カスハラ対策方針」が悪質クレームに示したこと
freeeは2月、不当・悪質なクレームについての対応方針を明らかにした。2022年夏にかかってきた脅迫電話がきっかけだったという。カスタマハラスメントによって休職・退職者が出るなど不利益を被ることが続き、対応方針公開に至った。それに至るプロセスや公開による反響などを取材した。 - 寝具の西川が開発「お尻のまくら」 1万円もするのに2万個以上も売れたワケ
寝具メーカー西川が2022年に発売した「お尻のまくら Keeps クッション」が売れている。1万円もするのに発売1年未満で2万個も売れた。ヒットの理由は同社が運営するコミュニティー活用にあるというが……
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.