赤字続きのミニストップ、逆転を狙う新業態は「コンビニキラー」? まいばすけっとに続けるか(3/4 ページ)
赤字が続くミニストップが、新業態を始めた。これまでの苦境を振り返りながら、新しい戦略の勝算を探る。
安売り路線は続かなかった
フライドポテトやソフトクリーム、期間限定の「ハロハロ」など、一定のオペレーションを要するファストフード商品を売りとするミニストップは、他社よりも人手不足の影響が大きく、業績回復も相まって不採算店の閉鎖を進めた。前述の通り2018年2月期末をピークとして国内店の縮小を始め、2020年2月期には前年比で200店舗もの純減となった。コロナ禍でも閉店し続け、直近の6月末時点では1855店舗を展開する。
コンビニ業界全体で見ると、人流の減少やイベントの縮小によりコロナ禍で業績が悪化したが、この間に店舗数はあまり減少しなかったため、その後の景気回復や値上げにより市場規模は拡大した。一方でミニストップは大量閉店を進めたため、現在でも売上高は回復していない。2020年2月期から2024年2月期の各期末時点における指標は次の通りである。
国内店舗数:1997→1999→1959→1907→1856
チェーン全店売上高(国内):3140億円→2909億円→2929億円→2869億円→2830億円
コンビニの市場規模(国内):12兆1841億円→11兆6422億円→11兆7600億円→12兆1996億円→12兆7320億円
客離れが進行する中であがこうとしたのだろう。近年では商品施策で迷走するような動きがみられる。物価高が続くにもかかわらず、100〜130円程度だったおにぎりを2019年に税別100円まで値下げしたことは記憶に新しい。他の総菜類との買い合わせを期待した施策だというが、全体の収益改善にはつながらず、2022年9月にはあえなく値上げした。
その他、2020年にホットコーヒーのSサイズを税別93円から同80円に値下げして集客を図ったが、現在では税込121円になっている。コストコントロールに無理があったのだろう。安易な値下げは一時的な集客にはつながるが、買い合わせを期待するのであれば他商品の質・価格を向上させる必要がある。おにぎりを他社より高価格帯に設定する一方、品質にこだわる姿勢をとるセブンとは対照的だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
ミニストップ「おにぎり100円」がもたらした“意外な変化”
ミニストップが7月に始めた「おにぎり100円」施策。主力商品のおにぎりを最大30円値下げした。開始から3カ月がたち、効果はどれほど出ているのか。また、“100円”という値決めは成功なのか。狙いや現状について聞くと、意外な変化も見えてきた。
ミニストップ「おにぎり100円」終了の衝撃 あえて具材増量に踏み切ったワケ
ミニストップが「おにぎり100円」(税込108円)をやめた。差別化につながるポイントで、さまざまなメリットがあったはずだった。どうして値上げに踏み切ったのか。
