2015年7月27日以前の記事
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ワーキングプア増加? 急拡大するスポットワークは、第2の日雇い派遣となるのか働き方の見取り図(4/4 ページ)

タイミーの上場でも話題になったスポットワーク。かつて「ワーキングプアの温床」などと非難を受けた“日雇い派遣”との共通点も多いが、どのような課題があるのだろうか。

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短期間労働サービス、統一ルールの整備を

 一方、一部の悪質な事業者を除き、多くの人材派遣事業者はしっかりとした雇用管理を行っています。また、派遣事業者は日々紹介やスポットワークのように労働者との関係性が曖昧でなく、明確な雇用関係にあります。それらの実情を踏まえると、日々紹介やスポットワークは認められて日雇い派遣だけが原則禁止となっている状況こそ疑問です。

 ともすると、日々紹介などは禁止されている日雇い派遣の抜け道のようになっているケースも考えられます。海外を見ても、期間が長すぎる労働者派遣が問題視されることはあっても、短期間の労働者派遣が原則禁止となっているのは日本だけです。

 また、日雇い派遣の原則禁止には、世帯年収500万円以上であれば利用できるなど不可解な例外が設けられていることに「なぜ収入が多い人は日雇い派遣で働けて、低い人が働けないんだ」「年収500万円未満の間違いじゃないのか」などと働き手からも多くの疑問が寄せられています。


写真はイメージ(ゲッティイメージズ)

 企業側にとっても働き手側にとっても、短期間労働をめぐるサービスのニーズが高いことは間違いありません。しかしながら、雇用管理責任が損なわれたり、労働者供給に該当したりするなどの懸念があります。一方で、ウーバーイーツのような業務委託契約のスポットワークなど、働き方の多様化は従来の概念が当てはまらない方向へどんどん拡大しています。

 以上を踏まえると、スポットワークや日々紹介、日雇い派遣といったサービススタイルの違いで区切ること自体に無理が生じてきているように感じます。短期間労働をめぐるサービスには共通の課題があることを踏まえ、不当な天引きを禁止したり、安全配慮義務を負う範囲を明確にしたり、危険有害業務は対象から外したり、支配従属関係が生じないよう監視したり――と、サービススタイルの違いを超えてひとまとめにした統一ルールを整備する必要があるのではないでしょうか。

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