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Amazonファーマシー、日米でどう違う? 比較から見える「ビジネス巧者ぶり」とはがっかりしないDX 小売業の新時代(2/3 ページ)

2024年7月に日本でスタートした「Amazonファーマシー」。米国には「Amazon Pharmacy」があるが、両サービスは本質的に異なる。両者を比較すると、Amazonが各国の状況に合わせて巧みにビジネスモデルを適応させている様子が見えてくる。

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価格設定と保険制度

 価格設定においても、両国で大きな違いがあります。米国のAmazon Pharmacyでは競争力のある価格設定を行っています。特にPrime会員向けの送料無料サービスは、会員にとって魅力的です。

 一方、国民皆保険の日本は国が定めた保険調剤の公定価格となります。つまり、どの薬局で購入しても薬代自体は大きく変わりません。ただし、配送料に関しては薬局ごとに設定が異なるため、ここに若干の価格競争の余地があります。

配送サービスと会員サービス

 米国のAmazon Pharmacyは、Amazon自身の経営する薬局からの出荷です。Amazonの強力な物流ネットワークを生かし、効率的で迅速な配送サービスを提供しています。この点が、日本のサービスとの大きな違いの一つとなっています。

 米国では、Amazonの既存の物流インフラを最大限に活用し、一部の都市では同日配送も実現しています。

 最も革新的なのは、テキサス州カレッジステーションで始まったドローンによる処方薬の配送です。これにより、注文から60分以内という驚異的なスピードでの薬の配達が可能になりました。また、渋滞が激しいニューヨークではeバイクを使用した配送も行っています。

ドローンによる処方薬の配送(Amazon Newsより)

 一方、日本のAmazonファーマシーでは、配送は各薬局が担当します。そのため、配送のスピードや料金は薬局によって異なり、米国のAmazonのような統一された高効率な配送システムにはなり得ません。代わりに、店頭での受け取りも選択できるのは特徴といえるでしょう。

 この配送システムの違いは、両国のサービスの本質的な違いを反映しています。米国ではAmazonが直接薬を販売・配送しているのに対し、日本ではAmazonはあくまでプラットフォームの提供者に現時点では留まっているのです。

 米国のAmazon Pharmacyでは、Prime会員向けに特別なサービスを提供しています。例えば、処方薬の割引や無料配送などがあります。これは、既存のAmazonの顧客ベースを活用して医薬品市場に参入する戦略の一環です。

 日本のAmazonファーマシーでは、現時点でPrime会員向けの特別なサービスは提供されていません。これは、前述の通り薬の価格が固定されていることや、Amazonが直接薬を販売していないことが理由として考えられます。

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