GACKTと「美食ブランド」でコラボ 根室の水産会社が「3K職場」を変える(2/2 ページ)
北海道・根室の水産会社が、アーティストのGACKTとコラボを進めている。なぜ、根室の水産会社がGACKTとコラボすることになったのか。オーシャンの荒木和人社長に聞いた。そこには、地方都市の水産会社としての課題と苦悩があったという。
GACKT「多くの方に存在を知ってもらうべき」
「GACKT極シリーズ」は、美食家としても知られるGACKTが実際に試食し、太鼓判を押した商品しか流通に乗せないことをコンセプトにしている。現時点で北海道の農水産物を中心に取り扱っており、自社サイト、楽天市場で販売している。GACKTがブランドアンバサダーを務め、全商品の販売をオーシャンが担う。
GACKTとの親交は、GACKTのファンである荒木社長がライブに「しんやのほたて」という北見市常呂町のホタテ加工食品を差し入れたことがきっかけだった。そのおいしさに驚いたGACKT側が荒木社長に連絡をし、他の商品も試食してみたいと3度の試食会を実施。冷凍のカニを提供したあとにチルドのカニを出すプレゼン内容にGACKTが舌鼓を打ち、ブランド化の打診をしたところから始まったという。
7月には、「GACKT極シリーズ」のブランド発表会を東京で開いた。ブランド化の経緯について、GACKTはこう話す。
「日本の多くの方にもこの存在を知ってもらうべきだと思い、ブランド化の提案をしました。冷凍のカニもすごくおいしかったのですが、そのあとにチルドのカニを出され、その味の次元の違いに驚かされました。その温度・鮮度管理技術の高さに感動しました」
荒木社長も、「いずれの製品も、当社が徹底してきた温度・鮮度管理のノウハウをそのまま生かしています。GACKTさんにも、その点を高く評価していただけました」と胸を張る。
GACKTは「GACKT極シリーズ」のブランド展開についてこう期待を寄せた。
「日本には海産物をはじめかなり高いクオリティの食材があります。ただ、あまりにも流通量が少ないことから、その地域にしかないものもたくさんあるんですよね。それを荒木社長に探していただいて、より多くの製品を美食家の方に届けられるきっかけに僕がなれればと思います」
荒木社長も「今年の冬にかけてはシーズンであるカニを中心に展開していきたい」と意気込む。
荒木社長は「GACKT極シリーズ」をはじめとする高付加価値戦略によって、水産業界の課題にも挑戦していきたいと話す。
「水産業界といえば、『きつい・汚い・危険』の3Kの代表格の人気がない業種です。『GACKT極シリーズ』をはじめとする高付加価値の製品を多く展開し、売上高を伸ばしていくことで、労働環境の改善にもつなげていきたいですね。また、自社でGACKTブランドの製品を製造・販売することで、若手社員を中心とした労働意欲向上にもつなげられればと思います」
日本の東端にある根室市の企業が、日本の水産業の課題にどこまで立ち向かえるのか。北海道の企業と、沖縄出身のGACKTのタッグに注目だ。
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