IP保有の有無が収益に直結
制作態様別にみると、直接制作を受託・完成させる能力を持つ「元請・グロス請」の平均売上高は23億6300万円。前年の17億2200万円を上回り、過去最高を更新した。元請・グロス請のうち「増益」は51.7%で、18年ぶりに5割を超えた。「赤字」(22.4%)も4年ぶりの低水準となり、収益力が改善されたことがうかがえる。
下請としてアニメ制作に携わる「専門スタジオ」の平均売上高は3億9100万円と、3年連続で前年を上回った。「前年並み」が過去最高となる46.6%で売り上げの頭打ちにある企業も多いとみられる。損益面では「赤字」が43.1%と、3年ぶりに40%を超えた。
業界を見渡すと、配信サービス向けの制作収入が重要な収益源となる傾向が見られる。その他、シリーズ化した作品では劇場版に制作資源を集中投入する動きもあるという。いずれも制作会社が積極的に版権(IP)を保有するケースが増えており、テレビ向けアニメを多く受託・制作する従来型のビジネスモデルに変化が生じている。
一方で、アニメーターの低賃金、IP収入が期待できない専門スタジオではコスト増による収益悪化が深刻化していることから、収益拡大分の還流に期待が集まる。生成AIが広がる状況で、著作権侵害への対応策も今後の焦点となると帝国データバンクはコメントしている。
7月時点の信用調査報告書ファイル「CCR」(200万社収録)や外部情報を基に集計・分析した。
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