2015年7月27日以前の記事
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シンギュラリティは到来するのか AIの「人類超え」(2/3 ページ)

AGIの開発やその利用法が議論されるにつれ、シンギュラリティがいつ訪れるのかといった話題が世間をにぎわす。しかしその定義を真剣に考えれば考えるほど、AIシンギュラリティの到来は遥か遠くに思える。

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 確かにコンピュータの進化の歴史において、さまざまな側面で人類の能力を超える力を、コンピュータが次々に獲得してきたことは間違いない。

 それは例えば計算能力、記憶能力であり、論理性や正確性を駆使したゲームに勝つ能力、各種センサーを利用した画像・空間認識能力、画像処理能力であり、各種言語の理解と学習による人々の知識・ノウハウの形式化や精緻化、言語化能力の獲得などである。

 いわば自ら学習し、最適と思われる答を出すまでに至っているのだ。

 しかしそもそも知性とは、こうしたコンピュータが得意な「答を出す」能力や、物事を「理解する」能力だけではない。もっと重要な知性とは、「何が求められているか」を自らの経験や時代背景・状況が求める価値観に基づいて探り当て、「自ら課題を設定する能力」のことではないか。

 それに対し今のAIは、利用者が「こういうロジックに基づき」「こういう問題に対する答を出しなさい」と、指示・設定することでしか動かないものである。

 こうした現在のコンピュータのロジック方式がベースになっている限り、AIで実現できるのは、それがより計算速度や精度の高いスーパーAIであっても、または汎用性の高いAGIであっても、所詮は「課題理解が柔軟になり」「答を出す」能力が高まるだけに過ぎない。

 それでは決して真の意味で「より賢いAI」を作れるわけではない。つまりシンギュラリティの実現ではない。

 逆に言えば、もしAGIがさらに進化し、(特に誰かの指示を待つことなく)自らの価値観に基づき、社会または所属組織または自らの状況に基づいて「何が求められているか」を自ら判断し、自ら課題を設定するようになれば、その解決法を過去の事例から抽出し成功確率から評価し何がベストの手段である可能性が高いかを判断することは難しくないはずだ。

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