2015年7月27日以前の記事
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AI時代に「音声データ」が持つ価値とは? コミュニケーションを”資産化”する方法「音声×AI」が変えるビジネスの未来(2/3 ページ)

音声データは比較的容易に収集できるうえ、話者のパーソナリティやニュアンス、緊急度など、多くの貴重な情報を含む。AIを掛け合わせることで、ビジネスに大きな変革をもたらす可能性がある。

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「録音ファイル」と「音声データ」は似て非なるもの 

 「AIを活用するには自社独自のデータが重要」というお話をすると「当社は過去のコールセンターのやり取りを全て録音している。この録音ファイルを使って自動顧客対応AIを作れないか?」という質問を受けることがあります。

 結論としては、AIを活用するためにはデータの量だけでなく、データの質も非常に重要になってくるため、難しいです。

 単純に録音ファイルをためるだけでは、AI活用にはつながりません。録音ファイルのような未処理のデータ(非構造化データ)をAIが使える適切な音声データ(構造化データ)に整える必要があります。録音ファイルを魚に置き換えると分かりやすいでしょう。


録音ファイルを魚に置き換えて考えてみると分かりやすい

 海に網を張ると魚がかかります。その魚を調理したり食べたりするためには、骨や身や内臓を分けて使いやすい状態にします。この加工処理によって、ようやく魚は食材として使えるようになります。この食材が音声データです。

良質なデータを大量にためる

 音声データの活用は、録音した音声を生音源としてそのまま扱うのではなく、上述したようにAIが使える適切な構造化データに整える必要があります。

 第1段階として、音声認識エンジンによりテキストデータに変換します。さらに、話し方・感情解析エンジンの解析結果や周辺システムの情報とひも付けることで、「誰が、いつ、どの業界の、どの担当者と、何をどのように話して、その結果どうだったのか」といった会話内容が構造化データとして整理された状態で保存され、検索・分析可能なデータにトランスフォーメーションさせることができます。


単純に録音ファイルをためるだけではAI活用にはつながらない。録音ファイルのような未処理のデータ(非構造化データ)をAIが使える適切な音声データ(構造化データ)に整える必要がある

 ある大手金融機関では、 コールセンターでの会話を全てビッグデータとして収集し、それを活用して顧客に合った金融商品の組成やマーケティング、営業活動に活用し始めています。

 これまでコールセンターはどちらかというと「コストセンター」として見なされがちな存在でしたが、このように顧客の声を音声データとして活用することで、「セールスセンター」や「マーケティングセンター」としての機能を持ち、利益を生み出す重要な顧客接点となります。

 コールセンターに限らず、マーケティング、営業、カスタマーサポート、採用、育成といった企業活動のさまざまな場面で音声データを蓄積し、それらを分析してナレッジやノウハウとすることで、データに基づく意思決定ができるようになり、データドリブン経営を推進できるようになります。

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