名刺の裏に金額を書いて「せーの」で出してきた クルマ買い取りの“入札制度”が面白い:高根英幸 「クルマのミライ」(3/5 ページ)
中古車市場は、業者オークションの台頭と買い取り専門店の増加で大きく変化した。今、買い取り業者はどのようにクルマを査定して買い取っているのか。筆者が一括査定を申し込んでみたところ……
17万キロ走った軽自動車でも値は付くのか?
以前は多走行、低年式の車両はスクラップになっており、鉄くずの価格も安かったことから、廃車には手数料を取られるケースが多かった。しかし新興国への中古車の輸出が増え、それに伴って中古部品の需要も高まってくると、日本では需要のなくなったクルマも使い道が広がってきている。
10年前なら、廃車の手続きと車両の引き取りまで無料で行ってくれる業者が最安値だったが、最近ではスクラップ鉄の価格が上昇しており、中古部品としての需要もあるため、どんなクルマでも最低2万円(軽自動車は1万円)で買い取るとうたう業者も出現している。
先日、事情があって知人の軽バンを代理で処分することになった。13年前の車両で走行距離は17万キロ。以前なら部品取り車かスクラップ行きとなるクルマだが、興味本位で買い取り査定をしてみることにした。
そこでインターネットで一括査定の申し込みをした。これはクルマや居住地の情報を入れるだけで、オンラインもしくは出張査定を複数の買い取り業者に申し込める、というものだ。
Web上で情報を入力して、申し込むボタンを押した数秒後には電話が掛かってきたのには驚いた。担当者がPCの前で待ち構えていて、即座にクリック一つで電話を掛けられるようになっているのだろう。
最初の電話に出ている間にも、どんどん電話が掛かってくるが、話し中なので当然出ることはできない。わずか数分の間に何度も掛け直してくるので、不在着信が山のようにたまる。
出張査定の日取りを2日間用意して対応するつもりだったが、最初の業者の日程を決めると、その後電話をかけてきた業者も同じ日程(初日)を希望してくる。しかも時間も同時で構わないというところばかりだ。というのも、最初に査定した金額に納得してその場で契約されてしまうと、後から行っても無意味になってしまうからなのだとか。
買い取り査定当日、約束の時間にやってきたのは3社の買い取り業者の担当者たちだ。電話ではあと2件予約していたはずだが、その2社は結局連絡もなく現れることもなかった。3人はクルマをある程度査定し、商品になると分かると次の段階に入った。
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