「仕事と介護の両立支援」十分ですか? 「はい」と答えた人事・労務担当者は1割
仕事を続けながら家族の介護を担う「ビジネスケアラー」への支援制度が、「十分である」企業は約1割――マイナビがそんな調査結果を発表。企業の人事・労務担当者618人への調査で、どのようなことが分かったのか。
仕事を続けながら家族の介護を担う「ビジネスケアラー」への支援制度が、「十分である」企業は約1割――マイナビがそんな調査結果を発表した。企業の人事・労務担当者618人への調査で、どのようなことが分かったのか。
「育児・介護休業法」の改正、認知度は9割を超えるが……
2025年4月に改正施行される「育児・介護休業法」においては、子どもを養育する労働者が柔軟に働けるようにするための措置の拡充や、介護と仕事の両立支援制度の強化などが明記されている。
民間企業の人事・労務担当者のうち、この法改正を知っている人は91.4%を占めた。一方で、「法改正の内容を読み、おおむね理解している」人の割合は54.9%にとどまった。
また、改正される育児・介護休業法において「育児と介護に関する3つの項目(※)」の3番目に位置付けられている「介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度強化」については、「本公布の前から制度化されていた」が26.5%、「本公布に対応して制度化した」が22.3%と、自社で対応できているとした人が計48.8%という結果に。
「子の年齢に応じた柔軟な働き方の拡充」における同回答の合計が59.0%に達しているのと比較すると、ビジネスケアラー支援の取り組みは遅れている企業が多い現状が垣間見えた。
「十分な支援制度がある」は1割
ビジネスケアラーへの支援制度の状況について、「すでに支援制度があり内容も十分である」とした人事・労務担当者は11.5%にとどまった。
その一方で、「支援制度があるが見直しが必要」(24.4%)および「制度は整備されておらず、早急に対策に取り組むべきだと思う」(25.6%)との声は合わせて半数を占めた。問題意識を持っていても、十分な支援制度を用意できていない企業が多数派である現状がうかがえる。
具体的に導入している支援制度について、最も多かったのは「介護を行う社員の状況に合わせ、勤務時間の調整ができる(フレックス・時短勤務など)」の45.5%。次いで「介護休暇・介護休業の取得の流れを社内に周知している」(41.9%)、「介護を行う社員の状況に合わせ、柔軟にテレワーク・リモートワークができる」(38.5%)となった。
「課題が深刻化すれば検討」する企業が多数
ビジネスケアラー支援の取り組みを導入する場合、実施検討のきっかけとなり得るものは「介護を行う社員が増えた場合」が43.0%と最多に。「従業員ニーズが高ければ」(35.8%)、「介護離職が増えた場合」(31.9%)が続いた。
調査は7月12〜14日にインターネット上で実施。民間企業で人事・労務業務に携わる20歳以上の618人から回答を得た。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
親の介護で「離職・働き方を変更」約4割 “介護離職リスク”の実態
親の介護のために「離職・働き方を変更」した経験がある人は約4割に上る──そのような結果がMS-Japan(東京都千代田区)による調査で明らかになった。働く人々が抱える介護の課題とは。
タカラトミーの“出産祝い金200万円”はなぜ実現したのか 「子育て支援だけではない」改革の全体像とは?
タカラトミーが7月から導入した、「出産育児祝い金」として社員に200万円を支給するという新制度。担当者は「あくまで人事制度改定の一部」にすぎないと話すが、一体どのような位置付けなのか。背景と狙いを聞いた。
育児との両立支援、企業の半数が「支障あり」 中小では雇用も厳しくなる?
政府の少子化対策のうち、仕事と育児の両立支援について、企業の半数が「業務に支障が出る」と回答した。支援策別で見ると、最も多かったのは「3歳までの在宅勤務」だった。





