人里離れた絶壁にあえて出店 130席の“ぽつんと”レストランなぜ人気? 驚きの「バッドロケーション戦略」に迫る:長浜淳之介のトレンドアンテナ(1/6 ページ)
飲食店の常識である「好立地」から離れ、バッドロケーションを自ら選び、出店している企業がバルニバービだ。なぜ、そのような戦略をとるのか。同社の取り組みを取材した。
飲食店はよく立地が重要といわれる。そのため、経営者や店舗開発担当者はなるべく駅前やロードサイドの一等地を取りに行く。二等立地、三等立地を狙う人もいるが、たいていは一等地の家賃が払える財力がないから、やむを得ず、そこに入居しているのだ。
ところが、わざわざ好んでひと気の全くない淡路島南端部の絶壁の上に、一軒家のイタリアンレストランをつくった飲食企業がある。バルニバービ(大阪市)という、東京証券取引所グロース市場に上場する会社だ。グループの連結売上高は、2024年7月期で約135億円、店舗数は97店を展開する(8月末時点)。
【お詫びと訂正:2024年10月9日午前10時、バルニバービの本社所在地の記載が間違っていたので修正しました。】
この、山を切り崩して建設した「TRATTORIA amarancia(トラットリア・アマランチャ)」が、7月24日にオープンして以来、どこからともなく人が集まってきて、平日の昼間でも満席になる日があるなど、好調なのだ。テラスからの紀伊水道、鳴門海峡への展望が絶景で、晴れた日には遠くに淡路島と四国を結ぶ、大鳴門橋も見える。地元の食材にこだわった食事もさることながら、この景観を楽しむために、いわば軽い登山やピクニックの感覚で、人々がやってくる。
バルニバービはレストランが好評のため、向かいに新しくホテルを建設中だ。同社はこれまで、島根県出雲市の人里離れた海岸でカフェやホテルを成功させるなど、地元の人ですら寄り付かない場所に、にぎわいを生み出す利用価値を見出してきた。創業者で同社会長の佐藤裕久氏は、「バッドロケーション戦略」と呼んでいる。
もちろん、悪条件の場所ならどこでも良いわけではない。夕陽が海に沈む光景が美しい、地域に特徴的な食材があるなど、地元の人が気付かない価値がある立地を選んでいる。
こうしたバッドロケーションで、バルニバービはどのような価値を生み出しているのか。現地を訪問した。
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