富士通の女性所長に聞く 仕事でも家庭でも「負い目」を感じすぎていた自分を変えた1冊は?:仕事で参考になった1冊(2/2 ページ)
仕事で必要な知識や考え方、役立つ視点を、本から学ぶ人は多い。しかし、そうした本に出会いたくても、日々の仕事に追われて、本を探す時間を確保するのは難しい。本記事では、女性管理職が仕事で参考にした1冊を紹介する。今回話を聞いたのは、富士通 富士通研究所コンバージングテクノロジー研究所 所長の山田亜紀子さんだ。
雷に打たれたような気持ちになった言葉
――仕事で参考になった1冊を教えてください。
女性リーダーでは定番かもしれませんが、『LEAN IN(リーン・イン)』(シェリル・サンドバーグ著、日本経済新聞出版)です。
――その1冊がどのように仕事に役立ったのでしょうか?
子どもを産む前は、研究内容をまとめてプレゼン資料を作るときなど、裁量労働をいいことに好きなだけ残業していました。しかし、子どもが産まれた後は当然そのような時間の使い方はできなくなり、ストレスをためていました。また、上の子が2歳の時に管理職になったのですが、十分に時間を使って仕事ができない負い目を感じていました。
そんなとき、この本と出会い、米国の女性も自分と同じような悩みを持っているんだとハッとさせられ、職場での負い目やストレスが軽減し前向きになれました。「完璧を目指すより、まず終わらせろ」という言葉が出てきたときは、まさに雷に打たれたような気持ちになりました。これまで自分が完璧を目指していた点があることを自覚し、「仕事を終わらせるポイントは何か」「何が必須なのか」を強く意識した結果、仕事の効率と満足度があがったと実感しています。
――その1冊がご自身にどのような変化をもたらしましたか?
仕事だけでなく、家庭にも良い影響があったと思います。自分の母や祖母のように、家事ができないことに感じていた負い目を解消できました。本の中では、女性の自己評価が比較的低いというエピソードも語られていました。米国の、特にキャリアを積んでいる女性は自信満々で仕事をしていると思っていたので、驚きとともに心境が大きく変化するきっかけになりました。「自己評価が実は低いかもしれない」と客観的に見れるようになり、くよくよ悩むことを減らせたことは、仕事だけでなく人生にとっても良かったなと思います。
また、『LEAN IN』で見つけた目からうろこが落ちるような発見や、自分の中でモヤモヤしていたけれど言語化できていなかったことを、後輩たちに話す機会が増えました。完璧を目指したくなってしまう自分を冷静に見て、「本当にその完璧さは大事なこと?」と考えることで、仕事や家事、育児が完璧にできないからと、仕事を諦める人が少しでも減ると良いなと思います。
『LEAN IN』との出会いが、山田さんの仕事や人生に新しい価値観を与えたようだ。完璧主義や自己評価の悩みという、多くのビジネスパーソンが抱える悩みや課題解決の一助になるかもしれない。
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