冬物「第3の柱」となるか ユニクロの「パフテック」、ウルトラライトダウンとどう違う?(2/2 ページ)
ユニクロが2023年から販売している「パフテック」。先日の記者会見では5つの強みとともに、冬物の新たな柱として育てたい意気込みが感じられた。会見のレポートともに、ウルトラライトダウンとどう違うかなどについて解説していく。
パフテックの特徴である軽量性を実現するには「同じ重量の綿で、どれだけ膨らむか」が重要になる。一般に、繊維の膨らみと素材の柔らかさは相反するが、パフテックではその点に工夫を凝らした。商品を手に取ったところ、ジャケットにしては非常に軽量で、かつカバンに詰め込めるくらいに折りたためる柔らかさがあった。
写真のように、新たなパフテック商品は従来のダウンや前期のパフテックよりもかさ高い、つまり膨らむ繊維である。羽毛のダウンは高湿度環境で膨らみ感が減り、保温性が低下する一方、最新の商品では湿度が高い条件下でも保温性をキープできる点を訴求する。水に強く、洗濯も可能だ。
冬物「第3の柱」になるか
今後の販売戦略について、ファーストリテイリングの吉田実恵子氏(グローバルマーケティング部)は「これまでのウルトラライトダウンに並ぶ商品としてパフテックを打ち出していきたい」と話す。メンズにウィメンズ、キッズ・ベイビーとターゲット別に商品ラインアップをそろえ、国内外で展開する方針だ。
従来のダウンは羽毛が生地から出てしまう「綿抜け」を防ぐために横キルト柄に限られていたが、パフテックは綿抜けしづらい分、デザイン性を向上できる点も強みとしている。ただ、筆者としてはデザイン性が大きく向上した印象を受けなかった。中綿の位置を維持するために、形状がどうしても制限されるのだろう。
2023年の発表会では羽毛を用いない点を訴求し、今期は機能性をアピールしたパフテック。メンズのパーカーやジャケットタイプの商品は主に5990円と6990円で、ユニクロらしくアウターにしては非常に安価である。
汎用的なアパレルとしては国内トップの規模とブランド力を誇るユニクロは、競合を意識した施策を行うというよりも、自社で新たな商品分野を切り開いてきた。冬物としてはウルトラライトダウン以外に「ヒートテック」が代表的な商品である。パフ“テック”という名称には、ヒートテックに続く肝いり商品という印象も受ける。冬物を代表する第3の商品となるか、今季の売れ行きに注目したい。
著者プロフィール
山口伸
経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 X:@shin_yamaguchi_
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