急成長企業の「バックオフィスSaaS活用」最適解 創業半年で16億円調達したベンチャーの裏側:あの企業が使うバックオフィスSaaS(2/2 ページ)
2024年4月に創業し、わずか数カ月で16億1000万円の資金調達に成功したPeopleX。同社が選択したSaaSの組み合わせは、スタートアップがゼロから最適なバックオフィス環境を構築する際の、1つの指針となるかもしれない。
システム間連携の重視
3つ目のポイントが、各システム間のスムーズな連携である。異なる業務システムを使用する中で、データの手動移行や二重入力は大きな負担となるため、APIやCSV連携を活用し、自動データ同期を実現することで効率化を図っている。
例えば、経費管理システム「バクラク」と会計システム「マネーフォワード会計」ではAPI連携により、経費データがリアルタイムに同期でき、請求書の受取から仕訳、支払いまでのプロセスが自動化されている。
しかし、一部の業務プロセスではAPI連携が整っていないため、CSVファイルを介して手動でデータをインポートする必要がある。特に、売上データの連携においては、「Salesforce」などのシステムからのデータをいったんCSV形式で出力し、「マネーフォワード会計」に取り込むという作業が求められている。
開田CFOは、「CSVを使わざるを得ない部分もあるが、現在の業務量では大きな問題にはなっていない。しかし、将来的には全てのプロセスをAPI連携で自動化したい」と述べ、今後の課題として認識している。システム連携の改善は、スタートアップの迅速な成長を支えるための重要な戦略となるだろう。
SaaSが切りひらくスタートアップの未来
PeopleXの事例は、2024年時点でのスタートアップにおけるSaaS活用のベストプラクティスを示している。創業間もない企業が、ゼロからSaaSを組み合わせてバックオフィス機能を構築した結果だ。
ただし、SaaSのベストプラクティスは急速に変化する。1年後には全く異なる選択が最適解となる可能性もある。機能を重視するか、SaaS間の連携を優先するか、あるいはユーザビリティを最重要視するかで、最適な選択は変わってくる。
PeopleXの事例は、バックオフィスSaaS構築の1つの指針となるが、各社の状況に応じた柔軟な判断が求められる。各社の例を参考に、自社に最適なSaaS構成を検討することが、スタートアップを始めとする企業の成長を加速させる鍵となるだろう。
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