MUFGが米OpenAIと連携 銀行の「非効率な三大業務」を変えられるか?
三菱UFJ フィナンシャル・グループは10月15日、米OpenAIと金融業務の高度化・効率化に向けた覚書を締結した。行内で効率化の余地がある「三大優先業務」を定め、効率化のための生成AIの利用を進める。
三菱UFJ フィナンシャル・グループは10月15日、米OpenAIと金融業務の高度化・効率化に向けた覚書を締結した。グループ傘下の企業の中でも、特に多量のデータを取り扱う銀行各社から着手し、OpenAI「o1」などを活用して業務効率化を図る。
同グループでは2023年度から、米MicrosoftのAzure OpenAI Serviceを利用してきた。行内で効率化の余地がある「三大優先業務」を定め、効率化のための生成AIの利用を進めている。
OpenAIと手を組んでメスを入れる「三大優先業務」とは
まずは「手続きの簡素化」。現状は行員が業務上必要な手続きを把握するのに時間を要しており、より容易に検索できる形を目指す。2つ目は「融資のための稟議書作成のサポート」。融資先の企業のマクロな業界動向を生成AIに分析させ、稟議書作成を効率化する。最後に「ウェルス・マネジメントの提案活動」。富裕層向け提案を行う営業担当者を対象に、好事例となった成約案件のノウハウを展開し、営業活動の質の向上を図る。
上記のような青写真を描いていたが、実際には議事録の要約や稟議書作成のアシストといった、基礎的な活用にとどまっていた。
こうした状況を打破し、さらに活用を推進するためOpenAIと手を組み、ChatGPT Enterpriseの利用を開始した。OpenAIの専門チームと定期的に利用状況などを共有し、修正の要求も行う。
一方でMicrosoftとの契約は継続し、並行して利用する。9月にはAI開発のSakana AI(東京都)に出資したことを発表しており、「さまざまな企業とオープンにお付き合いしていく」(三菱UFJ銀行 広報担当者)方針だという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
「ギャルのお悩み相談」も パーソルが社内GPTの“プロンプト掲示板”を作ったら、何が起きたのか
言葉が思い出せないときには「あれ、あれ、あれだよあの単語」。誰かに悩みを聞いてほしいときには、ギャルが明るく解決してくれる「悩みへの認知行動療法的アドバイスbyギャル」。パーソルグループの社内GPTでシェアされている、生成AIへの指示文(プロンプト)だ。プロンプトをシェアし合うことで起きた「思わぬ効果」とは?
パナソニックHD、人事業務にAI活用 50人分の工数削減、その舞台裏は
パナソニックホールディングスは新人事システムにAIを活用して、50人分の工数削減につなげた。どのようなシステムなのか。
急成長企業の「バックオフィスSaaS活用」最適解 創業半年で16億円調達したベンチャーの裏側
2024年4月に創業し、わずか数カ月で16億1000万円の資金調達に成功したPeopleX。同社が選択したSaaSの組み合わせは、スタートアップがゼロから最適なバックオフィス環境を構築する際の、1つの指針となるかもしれない。
地方中小企業でも、年収アップ! DXで間接業務を9割削減、“昭和の工場”を変えた若社長の大改革
管理職の平均年齢は39歳にして平均年収は820万円と、地方製造業として高水準を誇るその企業の名前は、三共電機。会社を父から継いだ三橋進氏は、自ら業務アプリを開発するなどデジタル化を主導し、残業時間を減らしながら社員数は1.8倍、売り上げは約1.5倍に。「どうせ無理」と否定的な声が多かったという社内や、先代社長である父との“壮絶な親子喧嘩”を経て、どのように改革を進めていったのか。

