ホリエモンが語る「生成AIの本質」 宇宙ビジネスが切り開くデータ社会の未来とは?(2/2 ページ)
札幌市で開催された「NoMaps2024」で、ホリエモンこと堀江貴文氏と、Lenovo(レノボ)を傘下に持つ投資会社「レジェンドホールディングス」副総裁の于浩氏が対談した。ホリエモンが語る「生成AIの本質」とは?
生成AIと次世代観測ビジネスの可能性
堀江氏は、宇宙ビジネスの可能性として、人工衛星により電磁波を利用して、地球の対象物をリアルタイムで観測できるリモートセンシングの技術の活用についても述べた。これまで観測衛星の多くはカメラ(光学センサー)によって地表の映像を撮影する光学衛星が主流だった。
しかし、近年ではカメラの代わりにマイクロ波レーダーを使用したSAR(合成開口レーダー)衛星が登場し、地表から反射された電波から、対象物の大きさや表面の性質、距離などが分かるスキャニング技術の進展によって、リアルタイムに地球全体を観測できるようになるという。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は7月31日、H3ロケット3号機で7月1日に打ち上げた先進レーダー衛星「だいち4号」の初観測画像を公開した。だいち4号はJAXAと三菱電機が開発。雨天や夜間でも観測可能なSARを使い、地震や火山活動に伴う地殻変動や災害の状況、森林や海洋の環境変化を捉えられる仕様だ。
SARは、小型化・低価格化が進むとともに生成AI技術と連携することにより画像解析技術の向上もみられ、ますます実用性が高まっている。
堀江氏は、人工衛星が今後も増えていく中で「ダウンリンク(衛星から地上に向けた電波)の通信速度など課題はあるものの、宇宙でデータの解析処理を実行し、必要な情報だけにデータ量を圧縮して地上に伝送する『エッジコンピューティング』の技術が進んでいる。宇宙からのスキャニングにより、データのリアルタイム化がさらに進み、想像もできない世界がやってくる」と述べた。
NTTとJAXAは2023年1月、人工衛星による観測で得た大量のデータを効率的に地上へ伝えるため、軌道上の「宇宙データセンター」であらかじめ処理するAI技術の共同研究を開始した。生成AIは、宇宙から取得される膨大なデータの解析や、衛星を活用した地球観測、さらには宇宙空間でのインフラ整備においても重要な役割を果たしていくといえる。
市場規模100兆円 日本企業がリードできるか?
世界が成長産業として注目する宇宙産業の市場規模は、2040年に100兆円まで拡大するという試算が出ている。米国を筆頭に、宇宙ビジネスの覇権争いが繰り広げられている中で、日本は、これまでに培ってきた技術力や革新的なスタートアップの取り組みを強化し、国際競争力を高めていく必要があるだろう。ISTのような日本企業が、宇宙開発で新たな可能性を示すことによって、世界でも独自のポジションを確立し、次世代の宇宙ビジネスをリードする存在となることが期待される。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
ホリエモンが明かす「民間ロケットとLinuxの共通点」 宇宙開発で今、切実に足りていない人材とは
ホリエモンこと堀江貴文氏に単独インタビューを実施。なぜ今、ロケットの民間開発が必要なのか、そして何が一番の課題なのか。その問題点を聞いた。
ホリエモンが北海道で仕掛ける「宇宙ビジネス」の展望――くだらない用途に使われるようになれば“市場”は爆発する
ホリエモンこと堀江貴文氏が出資する北海道大樹町の宇宙ベンチャー、インターステラテクノロジズが5月2日に予定していた小型ロケット「MOMO5号機」の打ち上げを延期した。延期は関係者にとっては苦渋の決断だったものの、北海道は引き続き宇宙ビジネスを進めていく上で優位性を持っており、期待は大きい。そのことを示したのが、2019年10月に札幌市で開かれた「北海道宇宙ビジネスサミット」だ。登壇したのは、同社の稲川貴大社長と堀江貴文取締役、北海道大学発ベンチャーのポーラスター・スペースの三村昌裕社長、さくらインターネットの田中邦裕社長、北海道大学公共政策大学院の鈴木一人教授。
“孫正義流”ChatGPTの使い方とは? 「部下と議論するより面白い」
「部下と議論するより面白い」と株主総会で会場を沸かせた孫正義氏のChatGPTの使い方とは。
なぜ北海道「人口5000人の町」に23億円の企業版ふるさと納税が集まったのか
のべ23億円以上の企業版ふるさと納税を集めた「人口5000人の町」が北海道にある。理由を町長に聞いた。
本田宗一郎が「すぐにやれ」と命じたこと ホンダ倉石誠司会長に聞く
本田宗一郎が、ソニーを創業した井深大に誘われて見に行き、『これこそホンダがやるべきことじゃないか。すぐにやれ』と本社に電話して設立されたのがホンダ太陽だ。本田宗一郎は技術で人を喜ばせて、技術で人の生活の可能性を広げることがホンダのやることだと言ってきた。本田技研工業の倉石誠司取締役会長に「多様性こそがホンダのDNA」だと語る真意を聞いた
孫正義「A2Aの世界が始まる」 数年後のAIは“人が寝ている間に”何をする?
ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長は、個人専用のAIが予定の管理や買い物などを代行する「パーソナルエージェント(PA)時代」が数年以内に到来するとの見方を明らかにした。
ホリエモンが斬る「ビットコインで大損した人たちを笑えない事情」
「日本の義務教育で行われている教育の大半は、意味がない」と語るホリエモン。「ビットコインで大損した例は、笑い話ではない」と話す。


