推論に強い「OpenAI o1」で“顧客の不満”を探れ CX向上に生成AIを生かす方法:その悩み、生成AIが解決(2/2 ページ)
今回は「カスタマーサポートにチャットで対応し、顧客の困りごとは解決できたものの、アンケートの評価が良くなかった」という状況を想定し、チャットの履歴から顧客の不満がどこにあったのかを探ってみる。
顧客満足度を高めるやりとりを聞いてみる
本音を推測したことで、顧客が一連のやりとりのどこに不満を感じていたのかが見えてきた。続いて、不満を解消するための改善案についても確認したい。
以下のプロンプトを入力し、「改善後のチャットのやりとり」「サポート担当が意識すべきこと」「それに対する顧客の本音」を出力してみよう。
【プロンプト】
顧客満足度を高めるには、どのような対応をすればよかったのでしょうか? 改善されたチャットのやりとりと、その際にサポート担当が意識すべきこと、それに対する顧客の本音を出力してください。
先ほどと同様、それぞれの発言に対して「本音」や「意識すべきこと」が以下のように出力される。会話のどこに注意しながらサポートをすればいいかが具体的に分かるので、すぐに実践に生かせそうだ。
【回答】
改善されたチャットのやりとり
1.顧客:こんにちは。Web会議用マイク付きスピーカー「XXX-01」を購入したのですが、無線でPCに接続できなくて困っています。
- 顧客の本音:早く使いたいのに、接続できなくてイライラしている。助けてほしい。
- サポートが意識すべきこと:お客様の困り具合に共感し、安心感を与える。
2.サポート:こんにちは。ご連絡ありがとうございます。接続がうまくいかずお困りですね。ご一緒に解決していきましょう。
- 顧客の本音:親身になってくれそうで安心した。
3.顧客:ありがとうございます。お願いします。
- 顧客の本音:丁寧に対応してくれて嬉しい。
4.サポート:まず、パソコンのBluetooth設定を確認したいのですが、よろしいでしょうか?パソコンの操作は普段よくされますか?
- サポートが意識すべきこと:お客様のスキルレベルを把握し、それに合わせた説明を心がける。
5.顧客:あまり詳しくないんです。教えていただけると助かります。
- 顧客の本音:自分では難しいから、具体的に教えてほしい。
6.サポート:かしこまりました。では、分かりやすくご案内いたしますね。まず、画面左下にある「スタートボタン」をクリックしていただけますか?
- サポートが意識すべきこと:一つ一つの手順を具体的に説明する。
7.顧客:はい、クリックしました。
- 顧客の本音:これなら分かりやすい。
8.サポート:ありがとうございます。その中に「設定」または歯車のマークがありますので、そちらをクリックしてください。
9.顧客:「設定」を開きました。
10.サポート:良いですね。次に、「デバイス」という項目を見つけてクリックしてください。
- サポートが意識すべきこと:お客様の進捗を確認しながら進める。
サポート担当が意識すべきこと
- 共感と安心感の提供:お客様の困り具合に共感し、親身になって対応することで信頼関係を築く。
- お客様のレベルに合わせた説明:技術的な知識がどの程度かを確認し、それに応じた説明を行う。
- 具体的で分かりやすい指示:一つ一つの操作を具体的に伝え、お客様が迷わないようにする。
- 進捗の確認とフォロー:各ステップでお客様の状況を確認し、必要に応じてサポートを調整する。
- 最終確認と感謝の言葉:問題解決後も追加のサポートが必要か確認し、感謝の気持ちを伝える。
この対応による顧客の本音
- 安心感と信頼感:丁寧で親切な対応により、不安が解消された。
- 満足度の向上:問題がスムーズに解決し、サポートに満足している。
- 感謝の気持ち:自分のペースに合わせた対応に感謝している。
今回のケースと同じ要領で、どうしてもスムーズにコミュニケーションが取れない相手とのメールからすれ違いの原因を探ったり、不可解なところで怒り出す人との会話でやりとりした内容を書き起こしたものから相手の思考を推測してみたりといったこともできるだろう。
一方で、o1モデルは「じっくり考える」という性質上、回答の出力までに時間がかかるのが難点だ。そのため、従来のモデルで問題なく使えていた用途であれば、あえてo1を使う必要はない。入力内容の個別の箇所に対する細かい分析や考察が必要なときに選択するのがよいだろう。
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