セブン&アイ「コンビニ専業」「売上30兆」は成功するのか 気になる買収提案のゆくえ:長浜淳之介のトレンドアンテナ(1/4 ページ)
外資からの買収提案に直面し、さまざまな対抗策を打ち出しているセブン&アイ。果たしてどのような結末を迎えるのか。同社の苦境や取り組みをあらためて概観する。
セブン&アイ・ホールディングスが、2030年度にグループの売り上げを30兆円に引き上げる構想を打ち出した。同社の売上高に当たる営業収益(2024年2月期)は、約11兆4700万円。前年と比べて3%ほど減少している。フランチャイズ店舗を含むグループ売り上げは約17.7兆円だ。
目標を掲げた「2030年度」は、同社でいえば2031年2月期の決算。あと6年半ほどで売り上げを約1.7倍にするのは、成長を加速させなければならず、直近の年商が減収になっていることからも、かなり困難でチェレンジングな目標と言えるだろう。
同社が突然、このような拡大策に出た背景には、カナダのコンビニ大手であるアリマンタシォン・クシュタール社からの買収提案がある。クシュタールはコンビニ「クシュタール」や「サークルK」を、北米や欧州、香港など世界29の国・地域で展開。1万6000店を超える店舗数を有している。2024年4月期の売上高は約692億ドル(10兆3800億円、1ドル=150円換算)だ。
両社の売り上げは現状ほぼ互角で、むしろセブン&アイの方がやや多いくらい。また、セブン&アイの世界店舗数は2月末時点で8万5000店近くに達している。つまり、セブン&アイの方が5倍以上も店舗が多い。もはやセブン&アイは、世界で最大といえるほどのコンビニ事業者なのである。
クシュタールの買収提案は、2005年、2020〜21年に続いて今回で3回目だ。8月19日には5兆円以上の規模で買収提案を行ったが、セブン&アイでは「著しく過小評価」として拒否。その後クシュタールは10月9日、約7兆円に引き上げて買収提案を再度行った。買収提案に法的拘束力はないが、初回のアプローチは約20年も前にさかのぼるものであり、今後も諦めずに買収提案を続けていくのは間違いない。
果たして買収から逃れるために打ち出したとみられる、セブン&アイの「30兆円構想」は実現するのだろうか。
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