えっ、売上比率はたった「1%」? それでもビールのミニ缶が40年も愛される理由:週末に「へえ」な話(1/3 ページ)
缶ビールのサイズを見ると、ミニ缶と呼ばれている135mlがある。「一番搾り」の内訳を見ると、売り上げ比率は1%ほど。あまり売れていないのに、なぜ販売を続けるのか。キリンビールの担当者に聞いた。
スーパーやコンビニなどで缶ビールが並んでいる棚を見て、ちょっと気になったことがある。主要ブランドは135ml、250ml、350ml、500mlの4種類を展開しているが、人気のサイズはどれか。
答えは、断トツで「350ml」である。では、最も小さな135ml缶はどのくらい売れているのか。キリンビールの担当者に聞いたところ「『一番搾り』缶での構成比では、1%ほどですね。多少の凸凹はありますが、1%ほどで推移しています」という。ん? たったの1%となると、気になるのは「それでも、なぜ販売しているのか」という点である。
「この商品は売れていないなあ。そろそろ製造はストップだな」「コストカットを優先するので、頭打ちの商品は今年で終わりね」といった言葉が飛び交っている会社も多いと思うが、「1%」という数字は危険水域ともいえる。にもかかわらず、販売を続けているのは何らかの意味があるはず。その謎に迫る前に、135ml缶の歴史を簡単に紹介しよう。
キリンがいわゆるミニ缶を投入したのは、1984年のことである。ちょうど40年前に「キリン缶生ビール」を1本100円で販売したわけだが、当時はどんな出来事があったのか。グリコ・森永脅迫事件があったり、エリマケトカゲが流行ったり、漫画『北斗の拳』がアニメで放送されたり。若い人にとっては「えっ、なにそれ?」と思われたかもしれないが、それほど遠い昔にミニ缶は世に出たのだ。
キリン缶生ビールが登場したのは1983年で、当初は500ml、750ml、1Lのサイズを販売していた。ただ、飲料メーカーが相次いでワンコインの商品を開発していたことを受け、キリンも135ml缶を販売したそうだ。
となると、気になるのは他のビール会社の動きである。サントリーもサッポロもアサヒも同じ年の同じ月……つまり、40年前の5月にミニ缶を販売。4社がそろって同じサイズの商品を投入するのは非常に珍しいことで、当時は「容器戦争」などと呼ばれていたのだ。
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