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セブン&アイが期待する「SIPストア」は、「まいばすけっと」に勝てるか? 1号店で見た“残念な光景”(2/3 ページ)

セブン&アイが2月に新業態として、既存のセブン‐イレブン店舗をリニューアルしてオープンした「SIPストア」。注目を集めたものの、オープンから8カ月が経過した今も、2号店が続いていない。一体なぜなのか。

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どっちつかずの店舗で、結局コンビニ商品が売れている

 西側には生鮮や加工食品、冷凍食品などが並ぶ。生鮮は精肉と青果が主で、魚は少ない。精肉は最大でも1パック200グラムほど、にんじんや玉ねぎは2個入りで提供するなど、1〜2人暮らしにちょうど良いサイズが特徴だ。筆者が訪問した際の価格帯は、国産豚挽肉が100グラムで151円、国産豚小間切が100グラムで146円。にんじん・玉ねぎは2個入りで150円で、一般的なスーパーと比較して決して安くはない。隣のオーケーと比較すれば、その差は歴然だろう。

 加工食品や総菜は、パック入りの「セブンプレミアム」商品が多い。セブンプレミアムは食品を主とするPB商品で、セブン-イレブンやイトーヨーカドーで販売している。冷凍食品も他と同様、メーカー品を陳列しつつ、PB商品が多い。その他、トイレットペーパーや洗剤などの消耗品を陳列している一角もある。

 このようにスーパー的な商品も多いが、昼間の1時間ほどじっくり見たところ、通常のコンビニのようにドリンクや軽食などを買う客が多いように感じた。反対に、精肉や青果を買う客は少なかった。物珍しさでスーパーのエリアに寄ってみたものの、商品を手に取らない客も見られた。やはり品ぞろえと安さでは魅力が弱く、向かいのオーケーの方がにぎわっている。

グループ内のチェーンとのコラボも、足かせに?

 SIPストアでは試行錯誤している様子が随所にみられた。具体的には、雑貨チェーンのロフトがセレクトした商品や、「アカチャンホンポセレクション」など、グループ内チェーンとのコラボコーナーが挙げられる。

 ロフトがセレクトした商品では、化粧水やアイライナーなどの化粧品を陳列。女性客を取り込む狙いがあったのだろう。常盤平駅周辺にコスメ関連の店舗が少ないことを出店のきっかけとしているものの、今後展開していく上では、特に薬局の多い地域などで効果が薄れてしまうと感じた。


ロフトセレクトによる商品(同前)

 離乳食などベビー用品のアカチャンホンポセレクションは、近隣の子育て世帯にとって有意義ではあるが、少子高齢化時代ではビジネスとして大きく成功する可能性は低い。化粧品と同様、薬局も競合となるため、現状のSIPストアをそのまま全国展開するのは難しいと考えられる。


アカチャンホンポセレクションも、全国展開をするならば蛇足に感じる(同前)

 ちなみにSIPストアの2階には、22席のイートインスペースと赤ちゃん休憩室(授乳室)、子どもが遊べるキッズルームがあった。しかし日曜の昼にもかかわらず利用者は筆者のほか男性客1人だけで、利用者が少ない印象を受けた。


看板でも授乳室をアピールしているが……

 ファミマで無印良品の商品を取り扱った施策が失敗しているように、そもそもコンビニと他企業のコラボは効果が薄い。コンビニにおけるメインの商材は、あくまでも食品とたばこであり、売り上げの1割しかない非食品に力を入れたところで、全体への影響は小さいと考えられる(セブンは既存店でダイソーとのコラボを強化している)。

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