飲みニケーションは必要か不要か? 議論で語られない管理職の“決定的な欠点”:スピン経済の歩き方(2/7 ページ)
「飲みニケーション」の議論では、なぜか「酒を飲む」行為だけが語られていることが多い。本当に大切なのは若者の「酒離れ」のような上っ面の話ではなく……。
「飲みニケーション」議論で大事な視点
ただ、実際に企業のアルハラトラブルの対応に関わった経験者として言わせていただくと、これらの「飲みニケーション」議論には、大切な視点がごっそりと抜け落ちている。それを一言で表すとこうなる。
飲みに行く、行かない以前に、シラフの段階で部下や周囲とうまくコミュニケーションが取れていない管理職が、日本の職場にはあふれかえっているーー。
普段から下の意見にも耳を傾けて、相談にも乗ってくれるような上司と、その部下が会社が終わってから居酒屋で一杯やれば、距離はさらに縮まり、互いに貴重な情報が得られる。人間関係が「酒」でさらに円滑になるわけなので、「飲みニケーション」として成立している。
逆に、普段から一方的に自分の考えを下に押し付けて、感じの悪い上司とその部下が居酒屋に行って一杯やったところで「飲みニケーション」が成立する可能性は低い。ビールのCMやテレビドラマならば、酒の勢いもあって互いに本音をぶつけあっていい関係になるところだろう。だが、現実はそんなに甘くない。
上司は酔いもあって普段の高圧さがさらに輪をかけてひどくなり、延々と自分の考えや主張を一方的にまくしたてる。部下は「へえ」「すごいですね」などとヨイショしてうなずきながら空になったコップに酌をする。「これも仕事だ」と自分に言い聞かせて時が過ぎるのを待つ。そのようなサラリーマンなら誰もが経験のある「仕事の付き合い飲み」にしかならない。
当たり前の話だが、好きな人と酒を飲めば楽しいし、価値観や話が合わない人、無条件でムカつく相手と飲んでも苦痛なだけで時間の無駄だ。要はミもフタもないことを言ってしまうと、「飲みニケーション」なるものが成立するか否かというのは、「相手次第」なのだ。
このような視点が「飲みニケーション」の議論で抜け落ちている。
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