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「データ重視」でWeb流入3倍に アステラス製薬のMRが挑んだCX改革アドビが聞く「実践! CX改革」(4/4 ページ)

優れたCXを実現すれば、顧客満足度を向上させるだけでなく、ブランドの差別化や優位性を確立させ、どんな状況でも「選ばれる」存在へとなることができる。アステラス製薬はコロナ禍でパーソナライズを中心にしたCX改革を進め、それまでバラバラだったデジタルチャネルと営業チャネルの連携を実現。メールからのWebサイト来訪率を約3倍まで伸ばしたほか、営業に渡すホットリードのインサイトの質、数を大きく向上させたという。

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メール経由のWeb流入「3倍」 リードの質・数も向上

松井: 2021年からデジタルマーケティング領域での稼働が始まりましたが、どのような成果がありましたか?

大石: 大きな成果が出たのはメールマーケティングです。以前は全くパーソナライズされていない画一的なメールを送っていましたが、ツール導入以降のメールマーケティングの成果を比較したところ、メール経由のWeb流入が約3倍に向上したんです。これにより、「Astellas Medical Net」への流入チャネルはメールがメインとなりました。MRに渡すインサイトの質、量も上がっています。このように、メールパフォーマンスが劇的に向上したこと、インサイトが右肩上がりになっていることがうれしい成果ですね。

松井: 今回の取り組みは、マーケティング観点でいうとコンテンツ、データ、ジャーニーの3つが全部そろった形で施策を展開しているんですよね。コンテンツはCMS、データは分析ツール、ジャーニーはMAとパーソナライズエンジンに相当しますが、どれか1つだけだと数値的な成果はもちろん、業務全体のレベルアップが見えにくくなります。今回3つに同時に取り組んだからこそ、成果が早く出たのだと思います。

大石: ありがとうございます。とはいえ効果検証やROI算出で課題があるのは事実なので、業界全体を底上げする意味で、医薬業界に特化したユーザー会を作り、情報共有を促進していきます。

松井: 横のつながりは大切ですよね。1人で悩んでいたことも、ちょっとしたアドバイスで解決することもありますし、自社の取り組みの進み具合が分かるので、それを社内に持ち帰って励みとすることもできますから。それで業界が共に成長していけば、社会全体も良くなると思います。

 では最後に、今後取り組んでいきたいことを教えてください。

大石: コンテンツ活用はまだできることがあると思います。コンテンツとジャーニーとデータでいえば、当社を含めて多くの企業はジャーニーの改善とデータの有効活用は手が付けられやすい分野だと思います。ですがコンテンツは一朝一夕にはいきません。

 そこでコンテンツの量産化、生産性向上は取り組むべき課題と考えています。多くのtoC向けコンテンツでは既に取り組まれていると思いますが、デジタルアセットやモジュールをデータベースに登録し、組み合わせて有効活用する取り組みを進めたいですね。

松井: 期待しています。今日はありがとうございました。


アステラス製薬社は今後も「購買プロセスが首尾一貫していない」という製薬会社特有の課題に、CX改革によって取り組んでいく(右:アステラス製薬の大石幸太氏、左:アドビの松井真理子氏)

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