お客はなぜ怒るのか? カスハラを生む原因と結果(3/5 ページ)
「お客さまは神様です」――。接客業で深刻化する迷惑行為「カスハラ」の定義や現状、企業と社会が取り組むべき対策を詳しく解説します。
顧客側と企業側から分析
「顧客」と「企業」の関係から見るカスハラ
この問題が日本で特に顕在化している背景には、独特の価値観が存在します。「お客さまは神様」という考え方の誤った解釈と拡大は、その代表例といえるでしょう。海外、とりわけ米国などでは、顧客と企業は対等です。カスタマーハラスメントという造語が和製英語である所以(ゆえん)だと思われます。
「従業員」と「企業」の関係から見るカスハラ
日本では、労働者が自分の権利を主張しにくい文化があります。その文化が、言い換えると「カスハラを受け入れてしまいやすい土壌」になったのではないでしょうか。また、企業が「顧客第一」を優先するあまり、従業員の安全やメンタルヘルスを後回しにする傾向がありました。
いまは人手不足の影響もあり、働く環境へ投資する企業が増えています。カスハラは従業員のメンタルヘルスにマイナスであり、対処しない企業は定着率や採用に悪影響を受けます。
「社会」の態様から見るカスハラ
経済的不安や競争の激化などにより、社会全体でストレスが高まっていることも一因です。エス・ピー・ネットワーク社(東京都杉並区)の「カスハラ」に関する調査を見ると、加害者側の8割が男性、4割が50代という結果も出ています(参照リンク)。不安や憤りを感じやすい傾向が、もしかしたら年代という区切りでも存在しているのかもしれません。
また、社会全体として、清廉潔白を求める風潮は年々強くなっています。つまり、ミスや間違いに対する不寛容な雰囲気と、それらを指摘して(ときには晒してもいい)という空気はカスハラを助長しているかもしれません。
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