AIで変わる就活の風景 「売り手市場」が採用DXを迫る(1/2 ページ)
AIの進化により、学生の就職活動に変化が起きている。HRテック企業のThinkingsの吉田崇社長に、2026年卒の採用などについて取材した。2社の実践事例も含めて紹介する。
AIの進化により、学生の就職活動に変化が起きている。エントリシート(ES)ではChatGPTなどの生成AIが利用され、対策として面接などの選考にAIを使う企業も出てきている。
また、売り手市場の中、優秀な学生を確保するため、就活の早期化をはじめとした採用担当者の負担が増加。リソース確保のため、AI活用による業務効率化が求められている。 HRテック企業のThinkings(東京都中央区)は12月5日、独自調査を踏まえた2026年卒の採用トレンド予測を発表。AI利用を前提とした採用活動の再構築が加速するとしている。
同社の吉田崇社長は、「企業側がここまで追い詰められていなかったら、DXやAI活用はもっと遅れたかもしれない。企業は採用に相当苦労していて、リソース確保の必要に迫られており、AIというテクノロジーに活路を見いだして飛び込んできている」と話した。
「選んでもらう」立場 人事担当者の苦労は絶えない
新型コロナウイルス禍の沈静化や人手不足などにより、新卒採用は売り手市場となっている。リクルートの「就職みらい研究所」によると、2025年卒の大学生の就職内定率は95.9%(2024年卒比3.9ポイント増)。内定者の平均内定取得数はこの3年でもっとも多い2.52社だった(いずれも10月1日時点での比較)。
Thinkingsが2025年卒の大学生・大学院生200人を対象に実施した調査でも、就活中に感じた不安として「就職できないかもしれない」という回答は出てこなかったという。もっとも多かったのは「自分に合った企業を見つけることができるか」(複数回答・37.0%)で、吉田社長は「就職できることが前提になっている」と分析する。
こうした中、優秀な学生を確保するため就活は早期化している。Thinkingsが提供する導入実績2000社以上の採用管理システム「sonar ATS」の利用社データからもこの傾向が分かる。
2024年卒と25年卒の採用活動を実施した企業のうち、経団連が求める広報活動解禁日である3月1日よりも早く本選考エントリーを始めた企業は、2024年卒時が84.8%だったのに対し、2025年卒時では92.3%と7.5ポイントも増えているのだ。
現在、企業の採用担当者は早期化に対応し、さまざまな施策を企画・実施しなくてはならない。内定を出したあとも辞退されないようにする必要があり、その意味で新卒採用は早期化だけでなく長期化しているともいえる。
加えて、学生から「選んでもらう」ため、選考に関するフィードバックをおこなうなど、学生一人ひとりに合わせた丁寧な対応が求められ、負荷が増えている。
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