カスタマーサポートはどこで迷走するのか? クレーム対応から見える課題と可能性(1/4 ページ)
クレーム対応を単なる「コスト」や「トラブル処理」として捉えることは、もったいない話です。では、どうすればいいのでしょうか。
著者プロフィール:小田 志門(おだ・しもん)
カラクリ株式会社 代表取締役CEO
1980年、京都府生まれ。関西大学卒業後、2003年にネットパトロール・カスタマーサポート事業を展開するイー・ガーディアン株式会社の創業メンバーとして入社。国内外の運用センターの立ち上げ・支援を経験。たった3人だった会社を、役員として従業員1000人規模の東証一部上場企業に成長させる。16年にチャットボットの可能性を感じ、17年10月にカスタマーサポートDXを手がけるカラクリ株式会社のCEOに就任。
カスタマーサポートは、顧客と企業が日常的に接する重要なフロントラインです。通常は問題なく機能していても、顧客がクレームを申し立てた瞬間、そこはブランド体験を左右する「最後の砦(とりで)」となります。対応を誤れば、顧客が離れ、ブランドイメージを損なう危険があります。
しかし、クレーム対応を単なる「コスト」や「トラブル処理」として捉えることは、大きな機会損失です。顧客から得られる示唆を生かし、戦略的なデータ活用で問題の本質に迫ることで、クレーム対応は企業価値の増大へとつなげられます。
カスタマーサポートの現場は、しばしば「対処療法」に陥りがちです。同様の不満や問い合わせが繰り返され、オペレーターは問題の根本を分析する余裕を失います。クレーム対応が増えれば、「クレーム対応=コスト」という考え方が強まり、経営側は投資を後回しにするでしょう。
この結果、現場は必要なトレーニングやシステム強化を受けられず、質の低下を招き、さらなる不満が累積する──「負のスパイラル」が生まれます。
クレームは、企業にとって顧客ニーズと提供価値のギャップを映し出す「鏡」であるべきです。では、なぜその鏡を活用できないのでしょうか。クレーム対応が「問題の温床」になっている背景には、顧客理解の浅さや断片的なデジタル化が横たわっています。
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