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鳥貴族が新時代の「居酒屋王」に!? 苦戦するライバルと差がついた決定的な理由:小売・流通アナリストの視点(4/4 ページ)
コロナによるダメージから回復しきっていない居酒屋各社。その一方で、新しい王者として台頭してきたのが「鳥貴族」だ。苦戦するライバルとの違いはどこにあるのだろうか。
売上高600億円のカギを握る「やきとり大吉」
外食産業は昔から労働環境が厳しく、人材の定着率は決して高くない。この状況は今でもほとんど変わらない。その上、近時の人手不足から、今後はさらに定着率は悪くなる環境にある。
外食産業に長い期間残ってくれる人材は昔から、「独立して自分の店を持つ」という目標がある人が多かったはずだ。鳥貴族グループでは、独立支援による人材の確保を目標の1つとしており、数年前から独立のための小規模店舗フォーマットを整備しつつあった。
そこにやきとり大吉の約500のFC店舗が加わり、その多くが順次、事業承継を必要としているという。これこそ、鳥貴族社員にとって独立の多様な選択肢であり、グループ内で独立した経営者として成長していくことが可能になる。優秀な人材の流出を減らし、グループ内経営者として共栄していこうという発想自体が、人手不足の時代の人材確保に大きく寄与することは間違いない。新たな居酒屋王、鳥貴族の成長は、当面持続すると考えていいのではないだろうか。
著者プロフィール
中井彰人(なかい あきひと)
メガバンク調査部門の流通アナリストとして12年、現在は中小企業診断士として独立。地域流通「愛」を貫き、全国各地への出張の日々を経て、モータリゼーションと業態盛衰の関連性に注目した独自の流通理論に到達。
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