「年間2000時間」以上の業務削減 長崎・西海市の生成AI活用、実態は?
長崎県西海市は、持続可能な自治体運営を目指し、生成AIとノーコード・ローコードツール「kintone(キントーン)」を活用した取り組みを開始した。サービス提供元であるサイボウズ(東京都中央区)が発表した。
長崎県西海市は、持続可能な自治体運営を目指し、生成AIとノーコード・ローコードツール「kintone」(キントーン)を活用した取り組みを開始。kintone提供元であるサイボウズ(東京都中央区)が、西海市の具体的な生成AI活用方法について発表した。
「年間2000時間」以上の業務削減
西海市では両備システムズが提供する「R-Cloud Proxy for kintone」を利用してkintoneにアクセスし、西海クリエイティブカンパニーが提供する自治体向けAIサービス「ばりぐっどくん」を活用している。議会答弁書の作成補助、画像内の文字起こし、翻訳など、さまざまな業務で生成AIを使っているという。
例えば、議会答弁書の作成では、kintone上で質問を入力し「回答スタート」ボタンを押すだけで、過去の議事録などの公開情報を基に生成AIが回答を返す仕組みを採用している。他にも、kintoneを介すことで生成AIが作成した内容を編集できたり、kintoneのコメント欄を活用し他部署のメンバーと情報共有やディスカッションができたり、更なる業務効率の向上を目指せるという。
「ばりぐっどくん」は、西海市が公開している過去の情報を追加学習することが可能で、西海市の業務に特化した精度の高いアウトプットを提供する。
さらに、kintoneを介することで、生成AIが作成した内容の編集が可能であるほか、kintoneのコメント欄を活用することで、他部署のメンバーと情報共有やディスカッションができるなど、業務効率の向上を目指した仕様となっている。
生成AIの試験運用開始から2カ月後に実施した全庁アンケートでは、年間2072時間の業務削減効果を確認した。また、約9割の職員が「kintoneと生成AIの有効性を実感している」と回答し、部署や役職によらず利用が広がっていることが明らかになった。
西海市は「今後も生成AIとkintoneの組み合わせをうまく活用し、自治体業務の変革を推進していく」とコメントした。
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