大卒の3割は「入社後3年以内」に離職、納得の理由:人材ビジネス(2/2 ページ)
入社後3年以内に離職する大卒者の割合は、過去20年間、概ね3割前後で推移しています。背景に何があるのかというと……。
こうして、システマチックな人事制度に基づいて右肩上がりで昇給する将来は来なくなりました。この現実を目の当たりにし、「こんな会社、辞めてやる!」と若者の早期退職に拍車がかかります。
会社に人生を預けることができなくなった就活生は、「自分の人生=仕事=キャリア」は自分で設計しなければいけないと考えるようになりました。そして「働きがい」を重視した就職活動を始めます。
キャリアに対する意識が高い学生ほど、会社に固執せず、スキルを身に付けたいと考える傾向にありました。
その一方、思っていた仕事ではないからと、安易にダイレクトリクルーティングで転職してしまい、結果的にキャリアが積みあがらなかった話も多く聞きます。
入社3年目の若手は、ダイレクトリクルーティングを活用して転職すれば、自分に合わない会社でこの先何十年とくすぶった時間を過ごさずに済むかもしれません。企業もミスマッチングな社員を何十年も抱えずに済みます。
しかし、「入社3年で3割離職」は、直属の上司や先輩がきちんと向き合うかどうかで決まると思います。若手社員にとって、働きがいの要素を占めるのは「上司・先輩が自分の仕事を認めてくれるか」「所属チームの一員として頑張れているか」「仕事の仲間がいるか」だからです。
木を見ても森を見ることができない入社3年生の「目」となり、森の景色やその素晴らしさを教えることが、上司や先輩の仕事です。そういった人材が会社にどれだけいるかがこの課題を乗り越えるポイントではないでしょうか。
著者プロフィール:水野臣介(みずの・しんすけ)
株式会社オーピーエヌ 代表取締役社長
人材派遣会社での勤務を経て業界専門誌「月刊人材ビジネス」発刊の前身となる出版社の株式会社オピニオンに入社。20年以上にわたり人材ビジネス業界の変遷をウォッチし続ける。2018年に「月刊人材ビジネス」を継承し株式会社オーピーエヌを設立、代表取締役社長に就任。現在は人材ビジネス業界向けに幅広い活動を展開している。
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