王者・丸亀製麺を挑発? はなまるうどんの「香川マウント」は成功するか:スピン経済の歩き方(5/7 ページ)
「はなまるうどん」を運営するはなまるが、創業25年を経て原点回帰を掲げている。新聞広告を見ると「香川生まれではない讃岐うどん」に対して、マウントをとっているようにも見えるが……。
はなまると丸亀製麺、成功したのは……
そして、もう1つの動かし難い事実として、「香川発祥じゃないほう」が成功をおさめ、今や日本を代表する「讃岐うどんチェーン」にまで成長し、海外にも広く展開していることである。
誤解を恐れずにいうと、消費者にとって「本物」かどうかはそれほど重要ではない。それよりも大事なのは「本物っぽい世界観」をいかにしてうまく伝えられるか否かだ。丸亀製麺はそれをしっかりとやってきたことで、香川にルーツがなくても「日本を代表する讃岐うどんチェーン」にまで上り詰めることができた、という見方もできる。
それを踏まえると、今回のはなまるうどんの「香川マウント」だけでは、丸亀製麺の牙城を崩すことは難しい。
これまで述べてきたように、一般消費者は「本物の讃岐うどんか否か」という点はそれほど気にしていない。香川を拠点にして「われらが本物であっちは偽物だ」と訴えたところで、そこまで響かないだろう。
ただ、勝機があるとしたら、はなまるうどんが今、大きく掲げている「多様性」だ。
「おいでまい!さぬきプロジェクト」の記者会見で、同社マーケティング本部CMOの高口裕之氏はこの25年で、ローカルフードだった讃岐うどんが全国区になった半面、「讃岐うどんの画一的なイメージが広がっている」という懸念を指摘した。
本場香川の讃岐うどんは店ごとのバラエティーに富んでいて、味付けも喉越しもまったく違う。そのように「個性」の強いソウルフードなので、香川では讃岐うどんの名店をハシゴしたり、製麺所巡りをしたりする人もいるのだ。
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