できるリーダーが実践する、部下に求める「2割報告」のルールとは？

この記事は、塩見康史氏、なかむらアサミ氏の共著『わたしからはじまる心理的安全性 リーダーでもメンバーでもできる「働きやすさ」をつくる方法70』（翔泳社、2023年）に、編集を加えて転載したものです。部下の業務プロセスや進捗を確認するときに役立つ「2割報告」について紹介します。

[塩見康史, なかむらアサミ，ITmedia]

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この記事は、塩見康史氏、なかむらアサミ氏の共著『わたしからはじまる心理的安全性 リーダーでもメンバーでもできる「働きやすさ」をつくる方法70』（翔泳社、2023年）に、編集を加えて転載したものです（無断転載禁止）。なお、文中の内容・肩書などはすべて出版当時のものです。

　ビジネスの世界で「心理的安全性」という言葉が広く知られるようになりました。組織の中で、メンバーが不安や恐れを感じることなく自分の考えを表現できる状態を指します。

　2025年がスタートし、今年から新たに部下を持つことになる読者の方も多くいるかもしれません。すでにリーダー業務に励み、日々、試行錯誤を続けている方もいるはずです。

　この記事は、心理的安全性の高いチームづくりを実践・支援する著者たちが、そのノウハウをまとめた著書『わたしからはじまる心理的安全性 リーダーでもメンバーでもできる「働きやすさ」をつくる方法70』（翔泳社、2023年）から、一部を抜粋し再構成したものです。

　リーダー業務に携わる読者の皆さんにとって、大いに参考となるはずです。今回のテーマは、部下の業務プロセスや進捗を確認するときに役立つ「2割報告」について。いったい、どういうことなのでしょうか？

部下の業務進捗を確認するときに役立つ「2割報告」とは？　写真はイメージ（ゲッティイメージズ）

著者プロフィール：塩見 康史

スコラ・コンサルト プロセスデザイナー、作曲家。

早稲田大学第一文学部卒業後、20年以上、ビジネスマンと作曲家の"二刀流"を継続。ビジネスでは、大手小売業の人事マンを経て、2007年スコラ・コンサルトへ。組織イノベーション、企業風土改革、戦略アート、などが専門。また最近、自身の創作経験をビジネスに応用した「創造的思考トレーニング」の普及にも取り組んでいる。

なかむら アサミ

サイボウズ チームワーク総研 シニアコンサルタント。

法政大学大学院経営学研究科キャリアデザイン学専攻修了。経営学修士。教育、IT 企業で人事を担当し、2006年サイボウズ株式会社に「離職率が高いとは知らず」入社。人事、広報、ブランディングを担当し、現在は、小学生から社会人まで幅広い層にチームワークを教える活動をしている。

「2割報告」のすすめ

　仕事の進捗を確認するときにやりがちなのが「結果を確認し、結果が伴わなかったときに追及する」ことです。リーダーとして、結果を知りたい気持ち、そしてダメだったときに「なぜ？」と思う気持ちがあるのは当然です。しかし、このコミュニケーションのやり方は、「上からの視点」「管理的なもの」「威圧的なもの」といった印象が強くなり、「あんぜんチーム」（心理的安全性が高いチーム・職場のこと）とかけ離れたチームになりやすくなるものです。

　こうしたコミュニケーションを避けるために、「2割報告」をおすすめします。

　2割報告とはその名の通り、お願いしている仕事が「2割くらいできたら教えてね」と伝えておき、都度の進捗ごとにお互い話し合いながら進めることができるようにする仕事のやり方です。2割の段階で状況を確認し、方向性に問題がなかったら、さらに2割進んだところで共有し、を繰り返すことで、「聞いてない」「言ってない」「想定外で困る」「ちゃぶ台返しをする（振り出しに戻す）」といったことが減ります。

　ある企業でこうしたしくみに変えたところ、お互い安心しながら仕事ができるようになり、業務スピードが上がった、という話を聞いてから、「すごくいいしくみだな」と思ったのでさまざまなところで紹介して、実践してもらっています。

（部下の声）過程をしっかり確認してくれるとメンバーは安心できます

1on1での仕事進捗の確認のしかた

　もう1つわたしたちが紹介している、仕事のプロセスの確認方法に、「数値に置き換えて話す」方法があります。

　現在の仕事の状態を0〜10のうち、どの段階か教えてもらい、そこから話を進めていくやり方です。「スケーリング」ともいわれるこの確認のしかたは、数値化することでお互いに客観的に話ができ、次の1歩が進めやすいというメリットがあります。

（部下の声）メンバーとしては、結果だけを追求されるとつらいです。プロセスを一緒に考えてくれるリーダーだと嬉しいです